[上海/シンガポール 31日 ロイター] - 中国の輸出企業は、複雑な通貨スワップ取引を通じてドル建て収入の人民元への両替を回避している。ドル高/元安が進んでいるため、ドルの保有で得られる潜在的な利益を逃したくないとの思惑が背景だ。
公式データや企業への取材で明らかになった。
こうした通貨スワップ取引の一部は国有銀行が取引相手になっており、通貨規制当局もこうした取引を認めているようだ。
人民元は今年、対ドルで5%以上下落している。
輸出企業はスワップ取引でドルを銀行に預け、人民元を受け取るが、最終的には反対取引で再びドルを手にすることになる。
通貨規制当局によると、中国企業は商業銀行との取引を通じ国内フォワード市場で7月に過去最高の315億ドルを人民元にスワップ。今年の総額は1570億ドルに達している。
ナティクシスのアジア太平洋シニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は「(米中の)金融政策の乖離が主因だ。短期的に大きな変化は見込みにくく、金利差を背景に人民元は下落し、輸出業者はドルを選好するだろう」と述べた。