ドル/円
午後3時現在 97.92/97 1.4027/32 137.42/47
正午現在 97.90/95 1.4032/37 137.43/51
午前9時現在 98.20/25 1.3985/90 137.37/42
NY17時現在 98.22/28 1.3972/73 137.16/25
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[東京 11日 ロイター] 午後3時現在のドル/円は、ニューヨーク市場の午後5
時時点から小幅下落し、97円後半で推移している。前日海外市場でドルが買われた反動
で、ドルは対円、対ユーロともじりじりと売られた。ただ、値動きは限られ、対円では前
日海外市場での安値から高値までの半値押しにとどまった。市場ではきょうの米30年債
入札が一段の「悪い米金利上昇」につながるのか、その場合ドルが買われるのかに注目が
集まっている。
ドル/円は「朝方に輸出筋の売りが出た」(国内証券)あと、「98円付近にあったス
トップロスをつけてドル売りが強まった」(都銀)こともあって、一時は97.72円ま
で下値を切り下げた。ただ、これは、前日安値(97.08円)から海外市場での高値
(98.45円)までの上げに対する半値押し(97.76円)の水準で、きょうのドル
の下落は前日海外市場での上昇に対する反動の側面が強いとみられている。
ドルは対ユーロでも売りが先行した。「アジア系がユーロ/ドルを買っている。原油高
やグローベックス市場での米株先物高に反応しているようだ」(国内銀行)という。ただ、
海外市場で1.3914ドルまで買われたあとの反動の側面が強く、1.4063ドルま
で売られたあとは下げ渋り、前日海外での安値(1.4145ドル)には届かなかった。
きょうの米30年債入札を前に、米金利に対するドルの反応に注目が集まっているが、
「米金利が上昇したとしてもドル売りなのかドル買いなのか判断に迷うところだ」(国内
銀行)との声が聞かれ、確たるシナリオを描ききれずにいるという。
<米金利に上昇圧力、ドルの反応に関心>
10日に実施された米10年債入札をきっかけに、10年債利回りは一時4%と8カ月
ぶりの水準まで急騰。ロシア中銀のウリュカエフ中銀第1副総裁が外貨準備の米国債比率
を引き下げIMF債を購入する意向を示したほか、ブラジルも国際通貨基金(IMF)が
発行する債券100億ドル分を引き受ける方針を明らかにしたことも利回りを押し上げた。
5日に新華社が中国政府は国際通貨基金(IMF)が発行する債券を最大500億ドル
購入すると伝えたことをきっかけに「中国が外貨準備をドルからIMF債などにシフトす
ることで、米債需給が圧迫されるのではないか」(邦銀)との見方が浮上していた。
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド ヘッドオブFXストラテジー、山本雅文氏は
リポートで、長期的な視点からは米国経済やドルの相対的地位の低下は着実に進行し続け
るものとみていいが、主要国外準における巨額のドル売却など短期的なドル急落を招くよ
うな措置はBRIC’s諸国にとっても自国通貨の急上昇を招き景気阻害要因となる可能
性が高いほか、米国としても高水準の対米投資を維持するためにはドル安政策という選択
肢はないと指摘。「こうしたIMF債購入の議論にしても、極力ドル暴落を招かないかた
ち(規模、ペースなど)で行われるとみるのが自然だろう」(RBS、山本氏)としてい
る。
11日付の中国紙、金融時報によると、中国の全国社会保障基金(NSSF)の戴相竜
・理事長は28日、中国は米国債の購入を継続する以外に選択肢はない、との見解を示し
た。理事長は天津で開催されたフォーラムで「良い点と悪い点を比較評価すれば、中国に
とって米国債の購入は必要な選択肢と言える」と述べた。一方、中国は巨額の外貨準備の
運用を多様化する必要がある、とも語った。
米10年金利の上昇について、市場では「ファイナンスのために高いリスクプレミアム
を要求する悪い金利上昇。ドルに対しては基本的には売り材料だ」(JPモルガン・チェ
ース銀行チーフFXストラテジスト、佐々木融氏)と受け止める声が聞かれる。
しかし、市場はドル買いで反応した。「短期的にシナリオとは別のフローが優勢になっ
た」(JPモルガン・チェース、佐々木氏)ためで、「米金利が上昇するとデリバティブ
関連などのポジション調整でドルを買わなければならない参加者がたくさん出てくる」(
都銀)という。
きょうは110億ドルの30年債入札(リオープン)が予定されている。住友信託銀行
マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は「米10年債利回りが4%まで上昇し米債に
割安感が出てきた。中国が5月も貿易黒字を確保しているところをみても、海外からの買
い需要はありそうだ。10年債利回りは当面、上昇しても4.2%前後までではないか」
とみている。
ドルに対する影響については「ロシアが米債比率を引き下げるとしても今すぐ売りが出
てくるわけではない。足元の判断としては金利上昇はドル買いになりそうだ」(住友信託、
瀬良氏)との声が出ている。
<豪ドルが堅調、底堅い雇用を好感>
オーストラリア連邦統計局が発表した5月の雇用統計によると、就業者数は季節調整済
みで前月比1700人減少した。
「減少幅が予想の3万人を大幅に下回るサプライズ」(みずほ証券金融市場グループ外
債トレーディング部マネージャー、鈴木健吾氏)となったことから、豪ドルが堅調に推移
した。対ドルでは発表前の0.8055ドル付近から一時0.8120ドル付近まで、対
円でも79円付近から一時は79円半ばまで上値を切り上げた。
(ロイター日本語ニュース 松平陽子)
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