*09:00JST カナダドルに不透明感【フィスコ・コラム】
ドル・カナダドル相場は年明け以降の上昇が一服し、足元は一進一退。
アメリカとカナダの金融引き締めは休止され、目先も方向感の乏しい値動きが予想されます。
一方、隣国アメリカでの大統領選に向けカナダでは早くも警戒感が高まり、相場にも影響しそうです。
ドル・カナダドルは昨年12月に5カ月ぶり安値となる1.3176カナダドルまで下落後、ドル買い優勢となり、年明け以降の2週間あまりで一時1.3541カナダドルと2%あまり強含む場面がありました。
ただ、その後は連邦準備制度理事会(FRB)とカナダ銀行(中銀)の政策決定をにらみ売り買いが交錯。
両中銀の今後の緩和的な政策スタンスをにらみ、トレンドの出にくい相場展開となっています。
1月24日に開催されたカナダ中銀の定例会合は、市場の予想通り、5.00%の政策金利を据え置くと決定しました。
声明文では従来の「必要ならさらに利上げの用意がある」との文言が削除され、引き締め休止を示唆。
政策論議は政策金利をどのぐらいの期間据え置くかという点にシフトしている、とマクレム総裁は述べています。
同中銀の利下げが現実的になり、カナダドル売りに振れています。
一方、FRBは同30-31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で5.25-5.50%の政策金利を4会合連続で維持しました。
利下げ時期をめぐり強弱まちまちの意見が出され、フェドウォッチでは3月と6月の金利引き下げについて見方が分かれています。
会合後はややドル買いに振れ、カナダドルは対ドルで小幅安に。
ただ、やはり先行きの利下げ観測から過度なドル買いは抑制され、目先は動意の薄い展開が見込まれます。
カナダドルの値動きを見るうえで、原油相場の動向は要注意です。
1月に入り、英米軍がイスラム武装組織フーシ派への攻撃を開始し、それに対するフーシ派の報復により中東は混迷を深めています。
ハマスやフーシ派を支援するイランが参戦する可能性は現時点で低いものの、NY原油先物は1バレル=80ドルを目指す展開。
それにより資源国通貨のカナダドルは下げづらい地合いとなりそうです。
さらに1月以降は米大統領選の予備選が本格化し、トランプ前大統領の返り咲きが注目されています。
カナダのトルドー首相は主要な貿易相手のアメリカでトランプ氏再登板の場合、カナダにとって不安が生じるとの認識を示しました。
メキシコを合わせた北米3カ国は2020年に新貿易協定USMCAをスタートさせ、2026年の見直しが迫っています。
同首相の発言はそれを念頭に置いたものとみられます。
2024年のカナダドルは大幅安となることは想定しにくいものの、年後半に向け売り材料が意識されるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
アメリカとカナダの金融引き締めは休止され、目先も方向感の乏しい値動きが予想されます。
一方、隣国アメリカでの大統領選に向けカナダでは早くも警戒感が高まり、相場にも影響しそうです。
ドル・カナダドルは昨年12月に5カ月ぶり安値となる1.3176カナダドルまで下落後、ドル買い優勢となり、年明け以降の2週間あまりで一時1.3541カナダドルと2%あまり強含む場面がありました。
ただ、その後は連邦準備制度理事会(FRB)とカナダ銀行(中銀)の政策決定をにらみ売り買いが交錯。
両中銀の今後の緩和的な政策スタンスをにらみ、トレンドの出にくい相場展開となっています。
1月24日に開催されたカナダ中銀の定例会合は、市場の予想通り、5.00%の政策金利を据え置くと決定しました。
声明文では従来の「必要ならさらに利上げの用意がある」との文言が削除され、引き締め休止を示唆。
政策論議は政策金利をどのぐらいの期間据え置くかという点にシフトしている、とマクレム総裁は述べています。
同中銀の利下げが現実的になり、カナダドル売りに振れています。
一方、FRBは同30-31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で5.25-5.50%の政策金利を4会合連続で維持しました。
利下げ時期をめぐり強弱まちまちの意見が出され、フェドウォッチでは3月と6月の金利引き下げについて見方が分かれています。
会合後はややドル買いに振れ、カナダドルは対ドルで小幅安に。
ただ、やはり先行きの利下げ観測から過度なドル買いは抑制され、目先は動意の薄い展開が見込まれます。
カナダドルの値動きを見るうえで、原油相場の動向は要注意です。
1月に入り、英米軍がイスラム武装組織フーシ派への攻撃を開始し、それに対するフーシ派の報復により中東は混迷を深めています。
ハマスやフーシ派を支援するイランが参戦する可能性は現時点で低いものの、NY原油先物は1バレル=80ドルを目指す展開。
それにより資源国通貨のカナダドルは下げづらい地合いとなりそうです。
さらに1月以降は米大統領選の予備選が本格化し、トランプ前大統領の返り咲きが注目されています。
カナダのトルドー首相は主要な貿易相手のアメリカでトランプ氏再登板の場合、カナダにとって不安が生じるとの認識を示しました。
メキシコを合わせた北米3カ国は2020年に新貿易協定USMCAをスタートさせ、2026年の見直しが迫っています。
同首相の発言はそれを念頭に置いたものとみられます。
2024年のカナダドルは大幅安となることは想定しにくいものの、年後半に向け売り材料が意識されるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。