*17:30JST 【金相場の特徴と今後の注目点】~価格動向予想と金現物・ETF・金先物の魅力~
以下は、2024年10月15日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された【金相場の特徴と今後の注目点】です。
価格動向予想と金現物・ETF・金先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
皆さん、こんにちは。
フィスコ・アナリストの白幡玲美です。
本日は金相場の特徴、今後の注目点、金投資を実際に行う場合の金現物、ETF、先物の特徴についてお話します。
金の価格は上昇を続けています。
金が買われる要因は様々ですが、インフレ、中央銀行の金購入、地政学リスク、ドルの弱体化などが挙げられます。
それぞれの理由が現状、該当するのか否かについて確認してみましょう。
1. インフレ
世界的なインフレ率の上昇は、金価格を押し上げる要因の一つです。
金は歴史的にインフレヘッジとして機能するため、通貨の価値が下落する局面では、金の需要が高まります。
アメリカのインフレ率は徐々に低下していますが、依然としてFRBの目標値である2%を超えています。
2. 中央銀行の金購入
各国の中央銀行が、外貨準備としての金の保有を増加させていることも、金価格の押し上げ要因です。
特に新興国を中心に、ドルやユーロの代替として金の備蓄を増やす動きが強まっています。
アメリカがドルを制裁に使用することで、各国がドルの使用を避けていることも一因とされます。
3. 地政学リスク
米中覇権争いに加え、ウクライナ戦争や中東を巡る地政学リスクが依然として高い状況が続いており、こうした不安定な環境下では、安全資産としての金が好まれます。
2の中央銀行による購入とつながるところがあります。
4. ドルの通貨安(弱体化)
金は国際市場で通常ドル建てで取引されます。
そのため、ドルが強くなると、ドル以外の通貨を持つ投資家にとって金の購入価格が高くなるため、金の需要が減少し、価格が下がる傾向にあります。
逆に、ドルが弱くなると、ドル以外の通貨を持つ投資家にとって金が相対的に安くなり、金の需要が増えて価格が上昇することがあります。
ただ、ドル指数を見る限り、ドルが弱体化している状況は確認できません。
価格に影響を与える要因別に方向性を考えた場合、金価格へ与える影響を表に示しました。
これまでもインフレは鎮静化しつつありましたが、金価格の上昇は止まっていません。
依然としてFRBの目標値である2%を超えているからでしょう。
逆にアメリカの金利低下が予想されますので、ドル安傾向が予想されます。
つまり、新たに金への買い材料が増えるということになります。
中央銀行の金購入、地政学リスクは高いままと想定されます。
また、アメリカ大統領選挙も考えるべきことがありますが、材料としてはまちまちです。
トランプ前大統領の政策は、短期的には減税や企業の成長を促進するため、ドル高につながりやすい側面がありましたが、貿易戦争や財政赤字拡大が長期的にはドル安リスクをもたらす可能性があります。
一方、ハリス副大統領は、貿易協力や環境政策などで国際市場に安定をもたらすため、ドルを支える要素がある一方、財政拡大がドル安のリスク要因となるかもしれません。
どちらの政策もドルに対して一長一短があります。
金投資というと、実物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
金の実物投資には実物ならではの魅力がある一方、保管リスクなどが伴います。
保管リスクがなく、実物に投資している場合と同じ効果のある金投資には金ETF(上場投資信託)があります。
金ETFは証券会社を通じて株式と同じように取引ができます。
投資効率で見てみると、金投資の中で最も投資効率が高いのは金先物取引です。
金先物取引は、証拠金を預託して取引を行う証拠金取引であり、レバレッジを効かせた投資ができるのが最大のメリットです。
金の実物投資の場合は買う、もしくは持っているものを売ることしかできませんが、金先物取引は買いからだけでなく、価格下落を予想して売りからも入ることができますので投資機会を逃しません。
金ETFも信用取引では売りから取引を始めることができます。
金先物は、2024年9月24日時点の終値(中心限月)をベースに考えると、レバレッジは最大で約26倍にもなります。
また、金標準先物では敷居が高いと感じる方も、取引単位と証拠金が標準先物の10分の1にとどまる金ミニ先物であれば、より手軽に投資をスタートできるかと思います。
このほか、金ミニ取引と同じ取引単位で決済期限のない金限日先物(げんにちさきもの)もありますので、金先物は投資家の投資スタイルに合った取引が可能です。
金先物の分散投資の有効性についても述べておきます。
ITバブル崩壊(2000年1月~2002年12月)、リーマン・ショック(2007年1月~2009年12月)の際のNYダウと金価格の相関係数を計算してみましょう。
アメリカ株と金先物の相関係数は -0.74、-0.55となりました。
これは、両者の間に中程度の逆相関があることを示しており、一般的に株価が上昇する際には金価格が下落し、逆に株価が下落すると金価格が上昇する傾向があることを意味しています。
切り取る期間にもよりますが、株式投資と組み合わせて使うことは分散投資やヘッジ戦略としても有効ですので、ぜひ皆さんの投資ポートフォリオに組み入れることを検討してみていただければと思います。
本日は最後までご視聴いただきありがとうございました。
価格動向予想と金現物・ETF・金先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
皆さん、こんにちは。
フィスコ・アナリストの白幡玲美です。
本日は金相場の特徴、今後の注目点、金投資を実際に行う場合の金現物、ETF、先物の特徴についてお話します。
金の価格は上昇を続けています。
金が買われる要因は様々ですが、インフレ、中央銀行の金購入、地政学リスク、ドルの弱体化などが挙げられます。
それぞれの理由が現状、該当するのか否かについて確認してみましょう。
1. インフレ
世界的なインフレ率の上昇は、金価格を押し上げる要因の一つです。
金は歴史的にインフレヘッジとして機能するため、通貨の価値が下落する局面では、金の需要が高まります。
アメリカのインフレ率は徐々に低下していますが、依然としてFRBの目標値である2%を超えています。
2. 中央銀行の金購入
各国の中央銀行が、外貨準備としての金の保有を増加させていることも、金価格の押し上げ要因です。
特に新興国を中心に、ドルやユーロの代替として金の備蓄を増やす動きが強まっています。
アメリカがドルを制裁に使用することで、各国がドルの使用を避けていることも一因とされます。
3. 地政学リスク
米中覇権争いに加え、ウクライナ戦争や中東を巡る地政学リスクが依然として高い状況が続いており、こうした不安定な環境下では、安全資産としての金が好まれます。
2の中央銀行による購入とつながるところがあります。
4. ドルの通貨安(弱体化)
金は国際市場で通常ドル建てで取引されます。
そのため、ドルが強くなると、ドル以外の通貨を持つ投資家にとって金の購入価格が高くなるため、金の需要が減少し、価格が下がる傾向にあります。
逆に、ドルが弱くなると、ドル以外の通貨を持つ投資家にとって金が相対的に安くなり、金の需要が増えて価格が上昇することがあります。
ただ、ドル指数を見る限り、ドルが弱体化している状況は確認できません。
価格に影響を与える要因別に方向性を考えた場合、金価格へ与える影響を表に示しました。
これまでもインフレは鎮静化しつつありましたが、金価格の上昇は止まっていません。
依然としてFRBの目標値である2%を超えているからでしょう。
逆にアメリカの金利低下が予想されますので、ドル安傾向が予想されます。
つまり、新たに金への買い材料が増えるということになります。
中央銀行の金購入、地政学リスクは高いままと想定されます。
また、アメリカ大統領選挙も考えるべきことがありますが、材料としてはまちまちです。
トランプ前大統領の政策は、短期的には減税や企業の成長を促進するため、ドル高につながりやすい側面がありましたが、貿易戦争や財政赤字拡大が長期的にはドル安リスクをもたらす可能性があります。
一方、ハリス副大統領は、貿易協力や環境政策などで国際市場に安定をもたらすため、ドルを支える要素がある一方、財政拡大がドル安のリスク要因となるかもしれません。
どちらの政策もドルに対して一長一短があります。
金投資というと、実物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
金の実物投資には実物ならではの魅力がある一方、保管リスクなどが伴います。
保管リスクがなく、実物に投資している場合と同じ効果のある金投資には金ETF(上場投資信託)があります。
金ETFは証券会社を通じて株式と同じように取引ができます。
投資効率で見てみると、金投資の中で最も投資効率が高いのは金先物取引です。
金先物取引は、証拠金を預託して取引を行う証拠金取引であり、レバレッジを効かせた投資ができるのが最大のメリットです。
金の実物投資の場合は買う、もしくは持っているものを売ることしかできませんが、金先物取引は買いからだけでなく、価格下落を予想して売りからも入ることができますので投資機会を逃しません。
金ETFも信用取引では売りから取引を始めることができます。
金先物は、2024年9月24日時点の終値(中心限月)をベースに考えると、レバレッジは最大で約26倍にもなります。
また、金標準先物では敷居が高いと感じる方も、取引単位と証拠金が標準先物の10分の1にとどまる金ミニ先物であれば、より手軽に投資をスタートできるかと思います。
このほか、金ミニ取引と同じ取引単位で決済期限のない金限日先物(げんにちさきもの)もありますので、金先物は投資家の投資スタイルに合った取引が可能です。
金先物の分散投資の有効性についても述べておきます。
ITバブル崩壊(2000年1月~2002年12月)、リーマン・ショック(2007年1月~2009年12月)の際のNYダウと金価格の相関係数を計算してみましょう。
アメリカ株と金先物の相関係数は -0.74、-0.55となりました。
これは、両者の間に中程度の逆相関があることを示しており、一般的に株価が上昇する際には金価格が下落し、逆に株価が下落すると金価格が上昇する傾向があることを意味しています。
切り取る期間にもよりますが、株式投資と組み合わせて使うことは分散投資やヘッジ戦略としても有効ですので、ぜひ皆さんの投資ポートフォリオに組み入れることを検討してみていただければと思います。
本日は最後までご視聴いただきありがとうございました。