[北京 13日 ロイター] - 中国税関総署が13日発表した6月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年比17.9%増加と、前月(16.9%増)およびアナリストの予想を上回り5カ月ぶりの大幅な伸びを記録した。
一方、輸入は同1.0%増加で前月(4.1%増)から予想以上に減速。新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)による国内消費の低迷が響いた。
ロイターがまとめたアナリストの予想は、輸出が12.0%増、輸入は3.9%増だった。
貿易黒字は979億4000万ドル。アナリスト予想は757億ドル、5月は787億6000万ドルだった。
輸出拡大に寄与したのは自動車。6月の自動車輸出は24万8000台で前年比30.5%増加した。
民生銀行のチーフエコノミストは、6月の輸出は人民元の下落のほか、製造業の生産再開、物流の回復などに支援されたと指摘した。
キャピタル・エコノミクスは、ロックダウン終了でサプライチェーンの混乱が緩和したことが輸出拡大に貢献したとし、港湾業務の回復に言及した。
公式統計によると、ロックダウンで打撃を受けていた上海港のコンテナ処理能力は6月は前年同月の95%程度に回復した。
上期の輸出は人民元建てで前年比13.2%増加。輸入は前年比4.8%増だった。
上期のロシアからの輸入はドル建てで前年比48.2%増加、ロシア向け輸出は同2.1%増と、同国への制裁の影響で低い伸びにとどまった。1-5月は輸入が同46.5%増、輸出が7.2%増だった。
6月の対米貿易黒字は税関統計に基づくロイターの算出で414億ドル。5月の361億ドルを上回った。
<輸入低迷 経済に不確実性>
エコノミストは、世界的な物価高と、それを受けた金融引き締めが需要を冷やし、中国の輸出は息切れするとみている。
国内では、収束に向かった感があった新型コロナの感染が、オミクロン株の派生型の出現で再び拡大する兆しが出ている。
野村のアナリストによると、11日時点で人口の17.5%、国内総生産(GDP)の25.5%に相当する31都市がロックダウンなど何らかの規制下にある。
6月の輸入額は3年ぶりの低水準。成長のけん引役のはずの建設部門の低迷が続いていることを示唆するとキャピタル・エコノミクスは指摘する。
低い伸びにとどまった背景にはコモディティー(商品)輸入の低迷がある。
原油の1日あたりの輸入量は前年比11%減少し2018年7月以来の低水準。厳格なコロナ規制下で精製業者が燃料需要の停滞を見込んだことが影響した。大豆輸入も23%減少。国際価格の高騰が響いた。
INGは、ロックダウンの物流への影響が輸入の下押し要因と指摘。主要都市で長期のロックダウンが実施されなければ輸入は回復するとみている。
税関総署の報道官は会見で、対外貿易は依然不安定で不確実性に直面していると述べた。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミストは、対外貿易は引き続き中国経済の最大のけん引役だが先行きは厳しいとみる。「先進国の需要がモノからサービスに移行するに伴い、輸出は年後半には力強い伸びを維持できなくなるだろう。上海などの都市での新型コロナ感染再拡大で第3・四半期の景気回復があやしくなった」と述べた。
15日には第2・四半期のGDPが発表される。アナリストの間では、ゼロコロナ政策を取り下げない限り今年の成長率目標の達成は困難とみられている。