■決算動向
(2) 2016年6月期決算の概要
フジコーの2016年6月期の業績は、売上高が前期比10.7%増の2,841百万円、営業利益が同19.5%減の276百万円、経常利益が同16.9%減の241百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.6%減の134百万円と7期連続の増収ながら減益となった期初予想に対しても売上高で上回ったものの、利益面では下回る着地であった
売上高は、既存事業がおおむね計画どおりに推移する中で、順調に立ち上がった森林発電事業が増収に寄与した特に今年6月から営業運転を開始したバイオマス発電による業績貢献(1ヶ月分)が乗った格好となった
ただ、利益面では、建設系リサイクル事業において改修工事に伴う修繕費及び改修時の外注委託費用が当初計画より増加したほか、森林発電事業における立ち上げ準備に伴う費用が当初計画を上回ったことから営業減益となり、期初予想を下回る着地となった
貸借対照表の状況については、森林発電事業にかかる設備投資(固定資産)のほか、売掛金や棚卸資産(燃料用木材の購入)など流動資産が増加したことから総資産が6,541百万円(前期末比50.0%増)と大きく拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより1,867百万円(同8.6%増)と増加したものの、総資産の大幅な伸びを賄いきれずに自己資本比率は28.6%(前期末は39.4%)に低下した有利子負債(リース債務を除く)は長短併せて3,585百万円(前期末比91.8%増)と大幅に増加しているもっとも今年9月には、新株発行(払込総額は約230百万円)により財務基盤の強化を図っている
キャッシュフローの状況も、営業キャッシュフローが売掛金や棚卸資産(燃料用木材の購入等)の増加によりマイナスとなったただ、森林発電事業の立ち上げに伴う運転資金の発生によるものであり、一時的な要因とみるのが妥当であろう今後は安定運用することによりプラスで推移するものと想定されるまた、投資キャッシュフローも森林発電事業にかかる設備投資により大きくマイナスとなり、両方のマイナスを主に長期借入金により賄った格好である
事業別の業績は以下のとおりである
●建設系リサイクル事業
売上高が前期比1.4%減の2,127百万円、売上総利益が同13.2%減の544百万円と減収減益となった各施設がフル稼働に近い状況にあることに加え、外部委託費も高騰していることから期初予想の段階で減収減益を見込んでいたが、売上高で若干上回ったものの、利益面では改修工事に伴う修繕費及び改修時の外注委託費用の増加により計画未達となった建設廃棄物の発生状況に鈍さが見られる中で、受入価格の維持を優先させたことから受入数量が伸び悩んだ一方、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電は、安定稼働による売電数量の確保と売電価格の向上により前期比17.9%増と順調に伸びている
●食品系リサイクル事業
売上高が前期比0.9%減の256百万円、売上総利益が18百万円(前期は2百万円の損失)となった従来の堆肥化中心から効率性の高い飼料化へのシフトを進める中で、野菜等の飼料化向きでないものを減らしたことなどから、上期において受入数量が大きく落ち込んだ学校給食等の新規取引先の受注等により下期での巻き返しを図ったもののカバーできず、通期での受入数量は微減となった一方、受入単価はほぼ横ばいで推移したことから、受入売上高は若干の減収となったただ、液状飼料の販売及び鉾田ファーム(養豚事業)は、数量増加により小規模ながら好調に推移しており、事業全体の売上高ではほぼ横ばいを確保するとともに、損益改善(黒字化)も実現した
●白蟻解体工事
売上高が前期比18.8%増の178百万円、売上総利益が同424.0%増の5百万円と好調に推移した白蟻工事は新築工事が前期比44.5%減と大幅に減少したものの、営業強化により既存工事を35.7%増に伸ばすことができたまた、解体工事も施工体制の拡充により工事件数が増加した
●森林発電事業
売上高が278百万円、売上総利益が22百万円であった2015年12月より販売を開始している電力小売事業による寄与(約170百万円)に加えて、中核となるバイオマス発電による1ヶ月分の業績貢献(約110百万円)が乗った格好となったただ、利益面では、立ち上げ準備にかかる費用が想定よりもかかったことから若干期初計画を下回った
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
(2) 2016年6月期決算の概要
フジコーの2016年6月期の業績は、売上高が前期比10.7%増の2,841百万円、営業利益が同19.5%減の276百万円、経常利益が同16.9%減の241百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.6%減の134百万円と7期連続の増収ながら減益となった期初予想に対しても売上高で上回ったものの、利益面では下回る着地であった
売上高は、既存事業がおおむね計画どおりに推移する中で、順調に立ち上がった森林発電事業が増収に寄与した特に今年6月から営業運転を開始したバイオマス発電による業績貢献(1ヶ月分)が乗った格好となった
ただ、利益面では、建設系リサイクル事業において改修工事に伴う修繕費及び改修時の外注委託費用が当初計画より増加したほか、森林発電事業における立ち上げ準備に伴う費用が当初計画を上回ったことから営業減益となり、期初予想を下回る着地となった
貸借対照表の状況については、森林発電事業にかかる設備投資(固定資産)のほか、売掛金や棚卸資産(燃料用木材の購入)など流動資産が増加したことから総資産が6,541百万円(前期末比50.0%増)と大きく拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより1,867百万円(同8.6%増)と増加したものの、総資産の大幅な伸びを賄いきれずに自己資本比率は28.6%(前期末は39.4%)に低下した有利子負債(リース債務を除く)は長短併せて3,585百万円(前期末比91.8%増)と大幅に増加しているもっとも今年9月には、新株発行(払込総額は約230百万円)により財務基盤の強化を図っている
キャッシュフローの状況も、営業キャッシュフローが売掛金や棚卸資産(燃料用木材の購入等)の増加によりマイナスとなったただ、森林発電事業の立ち上げに伴う運転資金の発生によるものであり、一時的な要因とみるのが妥当であろう今後は安定運用することによりプラスで推移するものと想定されるまた、投資キャッシュフローも森林発電事業にかかる設備投資により大きくマイナスとなり、両方のマイナスを主に長期借入金により賄った格好である
事業別の業績は以下のとおりである
●建設系リサイクル事業
売上高が前期比1.4%減の2,127百万円、売上総利益が同13.2%減の544百万円と減収減益となった各施設がフル稼働に近い状況にあることに加え、外部委託費も高騰していることから期初予想の段階で減収減益を見込んでいたが、売上高で若干上回ったものの、利益面では改修工事に伴う修繕費及び改修時の外注委託費用の増加により計画未達となった建設廃棄物の発生状況に鈍さが見られる中で、受入価格の維持を優先させたことから受入数量が伸び悩んだ一方、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電は、安定稼働による売電数量の確保と売電価格の向上により前期比17.9%増と順調に伸びている
●食品系リサイクル事業
売上高が前期比0.9%減の256百万円、売上総利益が18百万円(前期は2百万円の損失)となった従来の堆肥化中心から効率性の高い飼料化へのシフトを進める中で、野菜等の飼料化向きでないものを減らしたことなどから、上期において受入数量が大きく落ち込んだ学校給食等の新規取引先の受注等により下期での巻き返しを図ったもののカバーできず、通期での受入数量は微減となった一方、受入単価はほぼ横ばいで推移したことから、受入売上高は若干の減収となったただ、液状飼料の販売及び鉾田ファーム(養豚事業)は、数量増加により小規模ながら好調に推移しており、事業全体の売上高ではほぼ横ばいを確保するとともに、損益改善(黒字化)も実現した
●白蟻解体工事
売上高が前期比18.8%増の178百万円、売上総利益が同424.0%増の5百万円と好調に推移した白蟻工事は新築工事が前期比44.5%減と大幅に減少したものの、営業強化により既存工事を35.7%増に伸ばすことができたまた、解体工事も施工体制の拡充により工事件数が増加した
●森林発電事業
売上高が278百万円、売上総利益が22百万円であった2015年12月より販売を開始している電力小売事業による寄与(約170百万円)に加えて、中核となるバイオマス発電による1ヶ月分の業績貢献(約110百万円)が乗った格好となったただ、利益面では、立ち上げ準備にかかる費用が想定よりもかかったことから若干期初計画を下回った
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)