[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)を初めとする世界の中銀が相次いで利下げを実施している現状について、格付け会社フィッチ・レーティングスのアナリストは16日に公表した報告書で、2009年の世界金融危機以来の世界的な金融政策の転換が起きているとの見方を示した。
FRBは昨年12月に利上げ断念を表明した後、今年7月に約10年ぶりの利下げに踏み切った。フィッチのアナリストは、こうしたFRBの政策転換に主導され、世界の中央銀行の金融政策は引き締めに向けた強いバイアスから緩和に向けた傾向にシフトしたとの見方を示した。
マクロ経済情勢は現時点ではそれほど悪くなく、ここ数カ月に見られた政策転換はそれほど大きくなかったものの、金融の中心地である米国などから新興国に至るまで対応が広い地域に広まったことは、FRBを主要なプレーヤーとして世界の中銀が相互にいかに緊密につながっているかを示していると指摘。フィッチの首席エコノミスト、ブライアン・クルトン氏は「政策転換が伝播したスピードは驚くべきものだった」と述べた。
ここ数カ月の間にFRBのほか19の中銀が利下げを決定。クルトン氏は、利下げを決定した中銀はFRBの政策変更と米中貿易戦争に起因するリスクの双方に対応したと指摘。新興国ではこれまで金融政策が商品(コモディティー)価格に連動してきたが、現在はFRBとの連動性が強まっているとの見方を示した。
フィッチのアナリストは、約10年間にわたる緩和的な金融政策のほか、FRBが実施した量的緩和でドル資金の調達が容易になっていたもののFRBが利上げに転じた時にリファイナンスリスクなどに直面したことの「重要」な結果の1つだったと指摘。クルトン氏はFRBの利下げへの政策転換を受け「他の中銀にかかっていた圧力が軽減した」と述べた。
フィッチの世界中銀の金融政策スタンスの判断指数(DI)は、50を上回れば引き締めバイアス、下回れば緩和バイアスを示す。昨年12月の時点では同指数は75だったが、今年7月は34まで低下した。
Central Bank Policy Rate Prior Rate Change Date Last Changed
Mexico 8 8.25 -0.25 8/15/2019
Peru 2.5 2.75 -0.25 8/8/2019
Serbia 2.5 2.75 -0.25 8/8/2019
Philippines 4.25 4.5 -0.25 8/8/2019
India 5.4 5.75 -0.35 8/7/2019
New Zealand 1 1.5 -0.5 8/7/2019
Belarus 9.5 10 -0.5 8/7/2019
Thailand 1.5 1.75 -0.25 8/7/2019
Hong Kong 2.5 2.75 -0.25 8/1/2019
Brazil 6 6.5 -0.5 7/31/2019
United States 2.25 2.5 -0.25 7/31/2019
Russia 7.25 7.5 -0.25 7/29/2019
Turkey 19.75 24 -4.25 7/25/2019
ECB -0.4 -0.4 0 7/25/2019
South Korea 1.5 1.75 -0.25 7/18/2019
South Africa 6.5 6.75 -0.25 7/18/2019
Nigeria 13.5 13.5 0 7/10/2019
Sweden -0.25 -0.25 0 7/3/2019
Australia 1 1.25 -0.25 7/2/2019
Norway 1.25 1 0.25 6/20/2019
Switzerland -0.75 -0.75 0 6/13/2019
Chile 2.5 3 -0.5 6/7/2019
Czech Republic 2 1.75 0.25 5/03/2019
Indonesia 6 5.75 0.25 11/15/2018
Canada 1.75 1.5 0.25 10/24/2018
England 0.75 0.5 0.25 8/2/2018
Colombia 4.25 4.5 -0.25 4/30/2018
Japan -0.1 0 -0.1 2/15/2016
China 4.35 4.6 -0.25 10/23/2015
Poland 1.5 0 1.5 3/5/2015