■成長回帰への取り組みと進捗状況
4. ボルテージの成長戦略のまとめ
ボルテージ (T:3639)が2016年6月に『3年戦略』とともにビジネスモデルの抜本的改革に踏み切って以来、四半期ごとの決算発表に際して取り組み内容や進捗状況が説明されてきた。
しかしながらその間、事業区分の変更や商品シリーズやジャンルの拡大などもあり、わかりにくくなっている面もあると弊社では考えている。
そこで、同社の成長戦略について弊社なりに整理を試みた。
まず同社がターゲットとする市場であるが、これは「日本女性」、「英語」、「ハイテク」、「男性」などにまず大別される。
このうち現時点の収益の柱は日本女性市場だ。
英語市場は2019年6月期の黒字化が視野に入ってきているが、ハイテク市場と男性市場については先行投資の状況が続くとみられる。
したがって、当面の間成長エンジンとして注視すべきは日本女性市場ということになる。
日本女性市場について同社は、「カジュアル」、「カジュコア/コア」の3つの層に顧客・市場タイプを分類し、コア層市場への進出を明確にしている。
したがって、ここが成長エンジンの1つであることに議論の余地はない。
カジュアル層は成長性の鈍化がみられた市場であった(前述のように、それゆえ同社は『3年戦略』に踏み切った)が、ここにきて見方が変わってきたもようだ。
それは同社がカジュアル層向けコンテンツを読み物アプリにシフトしたことに表れている。
この市場は電子コミックの市場と競合関係になり得ると同社は考えており、読み物アプリ化したことで、同社の恋愛ドラマアプリが電子コミックの顧客を取り込む可能性が出てきたとみている。
同社は、電子コミック市場の推定規模は600億円であり、カジュアル層市場の100億円を大きく上回っていると推定している。
すなわち、アプリの配信形態の変更により、潜在市場規模が一気に7倍に拡大する可能性があるということだ。
また個別コンテンツにおいても、同社はモーションタイプという実験作に区分されるアプリをローンチしている。
これはアニメーションのような動きをするもので、電子コミックや伝統的な同社の恋愛アプリ(これは言わば電子紙芝居のようなもの)とは大きく異なる特徴を有している。
キャラクターデザイン、マルチエンディングストーリーなどの同社の強みに加えて、モーションタイプのような新タイプのコンテンツを組み合わせることで、カジュアル層向けビジネスもまた成長エンジンとして機能してくる可能性があると弊社では考えている。
カジュコア層向けについては、『恋乱』自体にまだ成長余地があると期待される。
同社は新章投入効果による顧客数増加で、収益の一段の成長を狙っている。
『恋乱』の成功は、同社の今後を占ううえで、非常に暗示的だと弊社では考えている。
『恋乱』はカジュコア層を意識して投入したわけではなく、結果的に1人当たりの消費金額で分類した場合、カジュコア層と重なったということだ。
これは同社が得意とする恋愛ドラマアプリにおいて、育成要素やアイテム課金の工夫次第で、ARPPUを引き上げることは十分に可能だということだ。
現状は、当初からカジュコア層を意識した、『恋乱』に続くコンテンツの投入が戦略的に計画されていないため、現状では成長エンジンという観点からはほかの2つのターゲット市場とは区別した見方をしている。
しかしここにおける成長ポテンシャルは十分に高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
4. ボルテージの成長戦略のまとめ
ボルテージ (T:3639)が2016年6月に『3年戦略』とともにビジネスモデルの抜本的改革に踏み切って以来、四半期ごとの決算発表に際して取り組み内容や進捗状況が説明されてきた。
しかしながらその間、事業区分の変更や商品シリーズやジャンルの拡大などもあり、わかりにくくなっている面もあると弊社では考えている。
そこで、同社の成長戦略について弊社なりに整理を試みた。
まず同社がターゲットとする市場であるが、これは「日本女性」、「英語」、「ハイテク」、「男性」などにまず大別される。
このうち現時点の収益の柱は日本女性市場だ。
英語市場は2019年6月期の黒字化が視野に入ってきているが、ハイテク市場と男性市場については先行投資の状況が続くとみられる。
したがって、当面の間成長エンジンとして注視すべきは日本女性市場ということになる。
日本女性市場について同社は、「カジュアル」、「カジュコア/コア」の3つの層に顧客・市場タイプを分類し、コア層市場への進出を明確にしている。
したがって、ここが成長エンジンの1つであることに議論の余地はない。
カジュアル層は成長性の鈍化がみられた市場であった(前述のように、それゆえ同社は『3年戦略』に踏み切った)が、ここにきて見方が変わってきたもようだ。
それは同社がカジュアル層向けコンテンツを読み物アプリにシフトしたことに表れている。
この市場は電子コミックの市場と競合関係になり得ると同社は考えており、読み物アプリ化したことで、同社の恋愛ドラマアプリが電子コミックの顧客を取り込む可能性が出てきたとみている。
同社は、電子コミック市場の推定規模は600億円であり、カジュアル層市場の100億円を大きく上回っていると推定している。
すなわち、アプリの配信形態の変更により、潜在市場規模が一気に7倍に拡大する可能性があるということだ。
また個別コンテンツにおいても、同社はモーションタイプという実験作に区分されるアプリをローンチしている。
これはアニメーションのような動きをするもので、電子コミックや伝統的な同社の恋愛アプリ(これは言わば電子紙芝居のようなもの)とは大きく異なる特徴を有している。
キャラクターデザイン、マルチエンディングストーリーなどの同社の強みに加えて、モーションタイプのような新タイプのコンテンツを組み合わせることで、カジュアル層向けビジネスもまた成長エンジンとして機能してくる可能性があると弊社では考えている。
カジュコア層向けについては、『恋乱』自体にまだ成長余地があると期待される。
同社は新章投入効果による顧客数増加で、収益の一段の成長を狙っている。
『恋乱』の成功は、同社の今後を占ううえで、非常に暗示的だと弊社では考えている。
『恋乱』はカジュコア層を意識して投入したわけではなく、結果的に1人当たりの消費金額で分類した場合、カジュコア層と重なったということだ。
これは同社が得意とする恋愛ドラマアプリにおいて、育成要素やアイテム課金の工夫次第で、ARPPUを引き上げることは十分に可能だということだ。
現状は、当初からカジュコア層を意識した、『恋乱』に続くコンテンツの投入が戦略的に計画されていないため、現状では成長エンジンという観点からはほかの2つのターゲット市場とは区別した見方をしている。
しかしここにおける成長ポテンシャルは十分に高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)