[ニューヨーク 29日 ロイター] 世界経済の鈍化やユーロ圏債務問題などの市場リスクへの懸念が高まる中、30日からの米国株式市場では、重要な製造業・雇用関連指標の内容次第で株価が下落する可能性がある。
UBS、シティグループ、ゴールドマン・サックスはいずれも過去2週間に、今年の米企業の株価収益率見通しを実質的に引き下げた。
UBSの米国株式チーフストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏は「企業業績に関しては上向きのサプライズが続く見通しだが、現在の業績改善が今後も続くかどうかについて投資家の心理は消極的だ」と指摘した。
同氏は、S&P総合500種<.SPX>採用企業の今年の平均収益予想を96ドルから101ドルに引き上げたが、年末のS&P総合500種の目標は1425に据え置いた。また、株価収益率見通しを14.8倍から14.1倍に実質的に引き下げた。これは投資家が求めるリターンを測る予想株式利回りが6.8%から7.1%に上昇したことを意味する。
同氏は、製造業の鈍化や住宅市場の弱さ、高失業率を示す一連の経済指標が投資家のセンチメントを圧迫していると指摘。軟調なコモディティ(商品)市場や株式市場でのディフェンシブ銘柄へのシフトなどにこれが表れているとの見方を示した。
1日発表の5月の米米供給管理協会(ISM)製造業景気指数は一段と弱い内容になることが予想されている。また、3日発表の5月の米雇用統計では非農業部門雇用者数の増加が20万人を下回る見込みであり、経済をめぐる懸念からリスク回避の動きが強まる可能性がある。
ゴールドマンのエコノミストは、非農業部門雇用者数の15万人増を予想している。ロイターがまとめた予想コンセンサスは18万5000人増。
RDMフィナンシャルのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・シェルドン氏は、ISM製造業景気指数が60を下回った場合、伸びの最も強い時期が過ぎたことを示し、投資家は今後の予想を修正する必要があるかもしれないと指摘した。
ロイターのエコノミスト調査では、5月のISM製造業景気指数は58と、4月の60.4から低下する見通し。