■今後の見通し
(2) 2016年3月期の業績見通し
ネットイヤーグループの2015年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の7,500百万円、営業利益が同43.6%減の250百万円、経常利益が同44.1%減の250百万円、当期純利益が同102.7%増の150百万円となる見通し
前期業績に寄与したオムニチャネル関連のプロジェクトは上期中でほぼ一段落するため、通期では数億円程度の減収要因となる同プロジェクトに関しては今後、追加案件が発生する可能性もあるが、プロジェクトの進捗状況によっては、コスト増となる可能性もある現段階では不確定要素が多いこともあり、業績計画上は保守的に立てられているものと考えられる
営業利益の増減要因を見ると、増益要因としては増収効果(50百万円)とrakumoの利益寄与(24百万円)、のれん償却費の減少(44百万円)などがあり、減益要因としてプロジェクト開発の体制強化(120百万円)、新サービスの開発・販売体制の構築(100百万円)、社内セキュリティ強化(50百万円)などを見込んでいるなお、今期は約100名の人員増を見込み人件費が増加するが、同程度の外注費が減少するため、損益面では相殺される格好となる
(3)子会社の動向
○トライバルメディアハウス
トライバルメディアハウスは引き続きソーシャルメディア領域での売上拡大が続く見通しで、増収増益が見込まれる特に2013年からサービスを開始した共創マーケティングプラットフォーム「cocosquare(ココスクウェア)」に関しては、2015年3月までに10社を超える企業に採用が進んでおり、今後も導入件数の拡大が見込まれている
同サービスは、Facebookを介して企業と顧客が情報を共有化する場を提供するASPサービスとなる新製品情報や各種イベント招待などファンづくりの場となるだけでなく、新製品の企画・開発に顧客も参加可能になることで、顧客との中長期的な関係を構築し、顧客LTV(生涯価値)の最大化を実現する新しいマーケティング手法として注目されている
今期は導入社数で新たに10社強を見込んでおり、売上高としては前期の60百万円から約2倍増に成長するものと予想される同サービスは月額課金型のストック型ビジネスのため、収益の安定性向上にも寄与するものと思われる
○日本技芸
日本技芸では「rakumo」のサービス強化に向けた開発を進めており、今期中にバージョンアップしたサービスをリリースする予定で、さらなる導入社数の拡大を見込んでいる今回の開発にあたっては、ネットイヤーグループからUIデザインの専門家を開発チームに引き入れ、従来よりも使い勝手の良い製品に仕上げていく予定となっている
また、低迷が続いていた受託制作部門については、ネットイヤークラフトに人員も含めて事業統合しており、収益体質の強化を図っている
○ネットイヤークラフト
業績が悪化していたネットイヤークラフトに関しては、バリューチェーンの再構築を進めている売上高の大半が親会社のネットイヤーグループであったが、直近2年間は制作部門として求められるスキルと、実際の従業員が持つスキルとの間に、かい離が生じ、これが受注減の要因となっていたこのため、今期より人材採用において求めるスキルなど明確な採用方針を打ち出し、人員体制の強化を進めていくことで、収益の回復を進めていく計画となっている
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)