[東京 5日 ロイター] - 来週の東京株式市場はしっかりとした展開となりそうだ。良好な需給が日本株の下支えとなり、節目の1万8000円を回復する見込み。メジャーSQ(特別清算指数)の算出を週末の12日に控え、ポジション調整的な売り圧力が出る可能性があるものの、国内外の経済指標の内容次第では高値を追う展開も期待されている。
日経平均の予想レンジは1万7800円─1万8300円。 米11月雇用統計に関してロイターがまとめた市場予測によると、非農業部門雇用者の増加数は23万人と、前回10月の21万4000人を上回る見通し。失業率は5.8%で横ばいとみられている。米経済が堅調に推移するなかで「予想よりも良好すぎる数字が出た場合、早期利上げ観測が広がり、米株安につながる可能性がある」(エース経済研究所・子幡健二社長)との声もあり、関心を集めている。
ただ外部要因に多少の売り材料が出たとしても、日本株の需給面での安心感は根強い。日銀が発表した市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量)の11月末残高は、262兆6865億円(10月末は259兆5457億円)となり過去最高を更新。2014年末の残高見通しは275兆円で、残り12兆円強の積み上げが必要となることから、ETF買い入れの拡大に対する期待も膨らむ。
「(日経平均が)1万8000円を超えて上に行くと高値警戒感も出やすいが、環境的には悪くない。悪材料が出ても日銀の買いで打ち消されてしまう形になりやすい」(内藤証券・田部井美彦投資調査部長)との指摘もあり、利益確定売りをこなしながら上値を追う展開が見込まれている。
8日には内閣府が2014年7─9月期実質国内総生産(GDP)2次速報を発表する。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前期比マイナス0.1%、年率マイナス0.5%。1次速報の前期比マイナス0.4%、年率マイナス1.6%から上方修正される見通しとなっている。この日は11月景気ウォッチャー調査(内閣府)も発表されるが、良好な内容となれば市場心理にも好影響を及ぼしそうだ。
一方、メジャーSQ算出日を控え、指数は「ボラタイルな動きになることも見込まれている」(国内証券)との声もある。とはいえ、堅調な米国経済、原油安、円安進行による国内企業業績への上振れ期待感なども意識されており、売り込みにくい局面が続く見通し。連日の株高で、押し目待ちの押し目なしといった状況にあった「個人の資金もここに来て動きつつあり、相場の下支えとなりそうだ」(岩井コスモ証券・有沢正一投資調査部副部長)と、待機資金が株高に寄与することも期待されている。
来週の主なスケジュールはほかに、国内では9日に11月工作機械受注速報(日本工作機械工業会)、10日に11月企業物価指数(日銀)、11日に10月機械受注(内閣府)などが公表される。海外では11日に米11月小売売上高、12日に中国11月小売売上高と鉱工業生産などが発表される予定となっている。
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