■事業概要
アクセル (TOKYO:6730)は遊技機器(パチンコ、パチスロ)に搭載される液晶ディスプレイの画像を創り出すグラフィックスLSIで市場シェア60%を握るトップメーカー。
製造は外部に委託するファブレス企業で、研究開発・販売戦略に特化している。
全体の売上高に占める遊技機器向けグラフィックスLSIの比率は、期によって変動するものの6割以上で推移。
また、利益に関しては、大半を同LSIで稼ぎ出す格好となっている。
その他の製品では、遊技機器向けのLEDドライバ、メモリモジュールのほか、建設機械や医療機器など組み込み機器向けのグラフィックスLSIなどがある。
また、遊技機器メーカー向けに開発支援用ソフトウェアや評価用基板を供給している。
これらソフトウェアについては顧客囲い込みのための重要なツールとなっている。
その他、子会社の(株)ニューゾーンで展開していたデジタル簡易無線分野の事業については、市場環境の変化や事業の効率性を鑑みて、2014年12月にアクセル本体が継承し、ニューゾーンは2015年2月に清算完了している。
○遊技機器向けグラフィックスLSIは3~5年で世代交代 収益の柱である遊技機器向けグラフィックスLSIをパチンコ向けとパチスロ向けで分けると、約80%がパチンコ、20%がパチスロという構成になっている。
製品は3~5年で機能の向上を図りながら世代交代を続けており、現在は2011年に投入された「AG4」から2014年に投入が開始された「AG5」への移行期に当たる。
同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの特徴は、比較的廉価なCPUで高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。
また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長し、高速表示するほか、多彩な演出を可能とする数多くのエフェクト機能も搭載している。
遊技機器向けグラフィックスLSIについては、このように特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大していることもあり、参入障壁は高くなっている。
大手パチンコメーカーの三洋物産(SANYO)はグラフィックスLSIを自社開発(生産は外部委託)しているため、それを除けば同社の市場シェアは非常に高い状況になっていると言えよう。
なお、外販の競合企業としては米NVIDIAやヤマハ (TOKYO:7951)などがあるが、いずれも10%程度のシェアにとどまっているとみられる。
○リユース市場が変動要因に なお、遊技機器向けグラフィックスLSI市場では、リユース(再使用)品の市場が2010年以降確立されてきたことには注意する必要がある。
これは遊技機器に搭載される部材の品質が複数回の繰返し利用でも問題ないレベルであることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことなどが背景にある。
遊技機器メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用する流れとなる。
現状ではグラフィックスLSIの年間需要のうち、2~3割はリユース品が占めていると考えられる。
○仕入先及び販売先 同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。
現在はルネサスエレクトロニクス (TOKYO:6723)を始めとした国内大手半導体メーカーをメインに製造委託し、半導体商社を通じて仕入れる格好となっている。
ただ、2019年3月期より本格量産を予定している次世代品「AG6」については、先端微細回路技術が必要なことやコスト面など総合的に判断して、海外のファンダリーメーカーに委託することを決定している。
このため、「AG6」の開発費及び仕入については為替の影響を受けることになる。
一方、販売先はエレクトロニクス専門商社である緑屋電気(株)が全体の90%以上を占めている。
同社の遊技機器向け製品に関する販売を緑屋電気が一手に引き受けているためだ。
同社が遊技機器向け製品の販売先を緑屋電気に集中しているのは、技術系商社としての緑屋電気のサポート力と遊技機器市場に向けたサービスの均一化を図るためとしている。
○研究開発費率は10%以上を継続 研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率はここ数年10%以上で推移している。
開発テーマは、主力のグラフィックスLSIや遊技機器向けのその他LSIのほか、新規分野となる無線通信用LSIなども含まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
製造は外部に委託するファブレス企業で、研究開発・販売戦略に特化している。
全体の売上高に占める遊技機器向けグラフィックスLSIの比率は、期によって変動するものの6割以上で推移。
また、利益に関しては、大半を同LSIで稼ぎ出す格好となっている。
その他の製品では、遊技機器向けのLEDドライバ、メモリモジュールのほか、建設機械や医療機器など組み込み機器向けのグラフィックスLSIなどがある。
また、遊技機器メーカー向けに開発支援用ソフトウェアや評価用基板を供給している。
これらソフトウェアについては顧客囲い込みのための重要なツールとなっている。
その他、子会社の(株)ニューゾーンで展開していたデジタル簡易無線分野の事業については、市場環境の変化や事業の効率性を鑑みて、2014年12月にアクセル本体が継承し、ニューゾーンは2015年2月に清算完了している。
○遊技機器向けグラフィックスLSIは3~5年で世代交代 収益の柱である遊技機器向けグラフィックスLSIをパチンコ向けとパチスロ向けで分けると、約80%がパチンコ、20%がパチスロという構成になっている。
製品は3~5年で機能の向上を図りながら世代交代を続けており、現在は2011年に投入された「AG4」から2014年に投入が開始された「AG5」への移行期に当たる。
同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの特徴は、比較的廉価なCPUで高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。
また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長し、高速表示するほか、多彩な演出を可能とする数多くのエフェクト機能も搭載している。
遊技機器向けグラフィックスLSIについては、このように特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大していることもあり、参入障壁は高くなっている。
大手パチンコメーカーの三洋物産(SANYO)はグラフィックスLSIを自社開発(生産は外部委託)しているため、それを除けば同社の市場シェアは非常に高い状況になっていると言えよう。
なお、外販の競合企業としては米NVIDIAやヤマハ (TOKYO:7951)などがあるが、いずれも10%程度のシェアにとどまっているとみられる。
○リユース市場が変動要因に なお、遊技機器向けグラフィックスLSI市場では、リユース(再使用)品の市場が2010年以降確立されてきたことには注意する必要がある。
これは遊技機器に搭載される部材の品質が複数回の繰返し利用でも問題ないレベルであることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことなどが背景にある。
遊技機器メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用する流れとなる。
現状ではグラフィックスLSIの年間需要のうち、2~3割はリユース品が占めていると考えられる。
○仕入先及び販売先 同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。
現在はルネサスエレクトロニクス (TOKYO:6723)を始めとした国内大手半導体メーカーをメインに製造委託し、半導体商社を通じて仕入れる格好となっている。
ただ、2019年3月期より本格量産を予定している次世代品「AG6」については、先端微細回路技術が必要なことやコスト面など総合的に判断して、海外のファンダリーメーカーに委託することを決定している。
このため、「AG6」の開発費及び仕入については為替の影響を受けることになる。
一方、販売先はエレクトロニクス専門商社である緑屋電気(株)が全体の90%以上を占めている。
同社の遊技機器向け製品に関する販売を緑屋電気が一手に引き受けているためだ。
同社が遊技機器向け製品の販売先を緑屋電気に集中しているのは、技術系商社としての緑屋電気のサポート力と遊技機器市場に向けたサービスの均一化を図るためとしている。
○研究開発費率は10%以上を継続 研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率はここ数年10%以上で推移している。
開発テーマは、主力のグラフィックスLSIや遊技機器向けのその他LSIのほか、新規分野となる無線通信用LSIなども含まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)