■業績の動向
2. ホームライフ部門
伊藤忠エネクス (T:8133)の2018年3月期第1四半期のホームライフ部門は、売上収益21,704百万円(前年同期比14.1%増)、営業活動に係る利益785百万円(同21.6%増)と増収増益で着地した。
LPガスの期末価格が期首から下落したため利幅圧縮はあったが、電力事業や機器販売事業などが堅調に推移し、セグメントの収益を押し上げた
ホームライフ部門の中核事業は、LPガス(プロパンガス)の販売だ。
同社はLPガスをジャパンガスエナジー(株)(同社が20%出資)から仕入れ、一般家庭向けに、子会社を通じて約35万世帯に直販しているほか、約1,900の販売代理店を通じて販売し、直販と合計して全国の約108万世帯に販売している。
また、LPガス事業の重要な市場として、タクシー向け燃料がある。
オートガスと称されるものだ。
オートガス向け販売量は同社のLPガス販売量の15%~20%程度を占めているもようで、需要先として重要な一角を担っている。
今第1四半期のLPガス事業は、前期において直売顧客軒数が増加したことで、1年前の比較では顧客軒数が増加している。
これが寄与して販売数量は前年同期比で増加した。
一方価格面では、期中平均のCP(コントラクトプライス、米ドル建て輸入価格)が400米ドル/トンと、前年同期の325米ドル/トンを上回って推移したが、今第1四半期の期首期末平均では3月末の450米ドルから6月末には385米ドルに下落した。
CPはLPガスの最大輸出国であるサウジアラビアが提示するもので国際指標価格だ。
CPは同社を含めた日本のLPガス事業者にとっては原料費に当たるが、この変動は原料費調整制度で吸収され、一定の利幅が確保される仕組みとなっている。
これがLPガス事業の収益構造上の最大の特徴と言える。
すなわち、LPガス事業の売上高は単価と販売数量の2つに左右されるが、利益については利幅が一定であるため販売数量の影響により大きく左右されるということだ。
今第1四半期は前述のように販売数量が増加したため、その分増益を確保することができた。
一方で、同社のような事業者はLPガス在庫を抱えており、期首期末の価格変動によって利益が上下に影響を受ける。
前述のように今第1四半期は期末価格が期首価格対比で下落したため、在庫影響がマイナス(利益押下げ)要因として働き、増益幅が圧縮された。
電力事業では、電力・ユーティリティ部門が扱う電力を、LPガスの顧客家庭向けに販売している。
ホームライフ部門の主力商材であるLPガスと電気のセット割引販売が同社の販売戦略であり、強みとなっている。
2018年3月期第1四半期においては顧客軒数を約4,000軒積み上げ、累計顧客軒数は2018年3月期第1四半期末で36,000軒に達した。
同社は2018年3月期末において累計顧客数を70,000軒とする計画であり、年間の純増数36,000軒を四半期でならせば、各四半期9,000軒超の純増が必要となる。
今第1四半期の実績はその線から下方にずれている形だが、弊社では懸念の必要はないと考えている。
第1四半期は同社にとっては四半期別ウエイトが最も小さい時期にあたる。
ここでのマイナス分を他の3四半期で取り戻すことは充分可能だとみている。
ホームライフ部門における海外事業として、同社はインドネシアで工業ガス販売事業(現地法人PT. ITC ENEX INDONESIAで展開)を、フィリピンでLPガス販売事業(Isla Petroleum & Gas Corporationに出資・参画)を営んでいる。
いずれの事業も順調に顧客基盤を拡大中で、今後も拡大路線を継続する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2. ホームライフ部門
伊藤忠エネクス (T:8133)の2018年3月期第1四半期のホームライフ部門は、売上収益21,704百万円(前年同期比14.1%増)、営業活動に係る利益785百万円(同21.6%増)と増収増益で着地した。
LPガスの期末価格が期首から下落したため利幅圧縮はあったが、電力事業や機器販売事業などが堅調に推移し、セグメントの収益を押し上げた
ホームライフ部門の中核事業は、LPガス(プロパンガス)の販売だ。
同社はLPガスをジャパンガスエナジー(株)(同社が20%出資)から仕入れ、一般家庭向けに、子会社を通じて約35万世帯に直販しているほか、約1,900の販売代理店を通じて販売し、直販と合計して全国の約108万世帯に販売している。
また、LPガス事業の重要な市場として、タクシー向け燃料がある。
オートガスと称されるものだ。
オートガス向け販売量は同社のLPガス販売量の15%~20%程度を占めているもようで、需要先として重要な一角を担っている。
今第1四半期のLPガス事業は、前期において直売顧客軒数が増加したことで、1年前の比較では顧客軒数が増加している。
これが寄与して販売数量は前年同期比で増加した。
一方価格面では、期中平均のCP(コントラクトプライス、米ドル建て輸入価格)が400米ドル/トンと、前年同期の325米ドル/トンを上回って推移したが、今第1四半期の期首期末平均では3月末の450米ドルから6月末には385米ドルに下落した。
CPはLPガスの最大輸出国であるサウジアラビアが提示するもので国際指標価格だ。
CPは同社を含めた日本のLPガス事業者にとっては原料費に当たるが、この変動は原料費調整制度で吸収され、一定の利幅が確保される仕組みとなっている。
これがLPガス事業の収益構造上の最大の特徴と言える。
すなわち、LPガス事業の売上高は単価と販売数量の2つに左右されるが、利益については利幅が一定であるため販売数量の影響により大きく左右されるということだ。
今第1四半期は前述のように販売数量が増加したため、その分増益を確保することができた。
一方で、同社のような事業者はLPガス在庫を抱えており、期首期末の価格変動によって利益が上下に影響を受ける。
前述のように今第1四半期は期末価格が期首価格対比で下落したため、在庫影響がマイナス(利益押下げ)要因として働き、増益幅が圧縮された。
電力事業では、電力・ユーティリティ部門が扱う電力を、LPガスの顧客家庭向けに販売している。
ホームライフ部門の主力商材であるLPガスと電気のセット割引販売が同社の販売戦略であり、強みとなっている。
2018年3月期第1四半期においては顧客軒数を約4,000軒積み上げ、累計顧客軒数は2018年3月期第1四半期末で36,000軒に達した。
同社は2018年3月期末において累計顧客数を70,000軒とする計画であり、年間の純増数36,000軒を四半期でならせば、各四半期9,000軒超の純増が必要となる。
今第1四半期の実績はその線から下方にずれている形だが、弊社では懸念の必要はないと考えている。
第1四半期は同社にとっては四半期別ウエイトが最も小さい時期にあたる。
ここでのマイナス分を他の3四半期で取り戻すことは充分可能だとみている。
ホームライフ部門における海外事業として、同社はインドネシアで工業ガス販売事業(現地法人PT. ITC ENEX INDONESIAで展開)を、フィリピンでLPガス販売事業(Isla Petroleum & Gas Corporationに出資・参画)を営んでいる。
いずれの事業も順調に顧客基盤を拡大中で、今後も拡大路線を継続する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)