ドル/円
正午現在 83.56/59 1.2690/94 106.06/09
午前9時現在 83.74/77 1.2691/95 106.29/33
NY17時現在 83.79/83 1.2685/87 106.29/34
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[東京 8日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ
小幅安の83円半ば。海外市場で一時83.51円と15年3カ月ぶりの安値を付けた流
れを受け、午前の取引では、ドルが再度安値に迫った。市場では83円半ばのオプション
関連のドル買い需要が意識されているものの、上値は重い。
この日の取引では、輸出企業や投資家による「諦め売り」(邦銀)が散見された。ドル
は83円半ばまで下落し、前日付けた15年3カ月ぶりの安値に迫った。
一方、前日から弱さが目立つユーロ/円は106.03円まで下落し、8月24日につ
けた9年ぶりの安値105.44円に接近した。ユーロ/ドルの安値は1.2676ドル
で海外の安値とほぼ変わらず。
「ドル/円は、本邦経常収支黒字から来る実需のドル売り/円買いで徐々に下落し、オ
プション関連の買いに当たると下落が一時的に止まる、というサイクルを繰り返している」
と三菱UFJモルガンスタンレー証券・クレジット市場部・為替課長の塩入稔氏は指摘。
「為替市場で、円やスイスフランなどの低金利通貨が継続的に買われているのは、世の
中がダウンサイドリスクを意識しているためだろう。 米国では二番底懸念がいったん後
退する気配をみせたものの、緊縮財政を敢行する欧州の景気先行きに対する不安感が広が
っている」と同氏は言う。
白川方明日銀総裁は8日、衆議院財務金融委員会での答弁で「日本経済の先行きや下振
れリスクをより注意する局面」との認識を示したうえで「下振れリスクが顕在化すれば、
追加措置の構えだ」と説明した。ドル/円は同発言後に83.75円付近まで若干値を戻
したが、上値を伸ばす力はなかった。
財務省が午前8時50分に発表した対外及び対内証券売買契約等の状況によると、8月
の対外証券投資は5兆3284億円の流出超、対内証券投資は777億円の流出超で、合
わせて5兆4061億円の資本流出超となった。
他方、財務省が同時刻に発表した国際収支統計では、7月の経常収支が1兆6759億
円の黒字となった。前年比は26.1%増。ロイターが民間調査機関に行った事前調査で
は、経常収支の予測中央値は1兆5615億円の黒字、前年比17.5%増だった。
<ユーロ>
昨日からの取引では、ユーロが弱いのが特徴的。 ユーロは対ドルだけでなく、スイス
フラン、英ポンド、豪ドル、円など幅広い通貨に対してユーロ安が進んだ。ユーロ安のき
っかけは、欧州金融機関がソブリン債の保有残高を過少申告していたとの報道だが、ポル
トガルなどユーロ周辺国のソブリンリスクが再度意識された。
「ユーロ/円では105円ミドルを割り込むと、主だったサポートがなく、下値リスク
が本格的に拡大するだろう」(ファンドマネージャー)という。
欧州景気への先行き懸念が広がるなか、2001年ノーベル経済学賞を受賞したジョセ
フ・スティグリッツ氏は7日、欧州連合(EU)の主要国が財政緊縮策をとれば、世界経
済の低迷が長引く、との見方を示した。
(ロイター 森佳子記者)