[フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が9日に公表した6月10日の理事会の議事要旨によると、政策当局者は、経済回復が加速する中で金融緩和策を縮小することを協議したが、最終的には緩和的な政策を維持することで「大筋で合意」した。
経済回復が始まったばかりである中での金利上昇を受け、ECB当局者は資産買い入れを早期に縮小することで国債利回りが上昇し成長を妨げる可能性があるとの結論に至った。経済が比較的速く成長し始めたものの、一部の主要な部門はまだ十分に成長基盤が固まっていないと指摘した。
ただ結論に至るまでは、保守的な当局者が資産買い入れペースの縮小を主張。ECBの政策が、改善している経済指標と歩調を合わせるためだ。
結局、利回りが急速に上昇するリスクなしに買い入れ額を減らすには、金融情勢が「ぜい弱過ぎる」との結論に至った。
ECBは「回復は初期の段階にある上、政策による下支えに大きく依存しているため底堅さがないことが強調された」と述べた。「よって、次の四半期に購入ペースを大幅に縮小することは現時点では不適切との見解だ」とした。
むしろ一部の当局者は、中期的な物価見通しが抑制されていることを踏まえると買い入れを拡大することも正当化できると主張した。
6月の会合の議事要旨はECBの次の動きを見極める上での確固たる材料にはならないとみられる。早ければ7月22日の理事会からECBが8日に発表した新たな戦略が主な判断基準となる可能性が高い。
ECBは新たな戦略で、物価目標をこれまでの「2%をやや下回る水準」から2%に改定。ラガルド総裁は新たな戦略が実際の政策にどのように反映されるかについて詳細を説明しなかったが、関係筋によるとECBは7月22日の理事会で緩和的な金融政策を長期にわたって維持することを示唆する新たな政策方針に切り替えることを検討している。