[アテネ/ラリサ(ギリシャ) 1日 ロイター] - ギリシャ中部で28日夜、旅客列車と貨物列車が正面衝突し少なくとも38人が死亡した。同国の鉄道事故としては史上最悪の事態となった。
犠牲者の多くは休暇で帰省中の大学生とみられる。衝突の原因などは今のところ不明だが、ミツォタキス首相はテレビ演説で「主に人為的なミス」との見解を示した。
消防当局者によると死者はさらに増える見込み。負傷者のうち66人が入院し、うち6人は集中治療を受けているという。
衝突が起きたのは、テッサリア地方のラリサ近郊。旅客列車はアテネから北部テッサロニキに、貨物列車はテッサロニキからラリサに向かっていた。テッサリアの知事によると、旅客列車の先頭4両が脱線、先頭2両は火災で「ほぼ完全に破壊された」という。
乗客約250人はバスでテッサロニキに向かった。
ヘレニック・トレインのデータによると、旅客列車には乗客342人、乗員10人が乗っていた。貨物列車の乗員は2人だった。
当局は、2列車がなぜ「何キロも」同じ線路を走っていたのかを捜査している。これまでに信号を担当していた59歳の駅長が逮捕されたほか、コスタス・カラマンリス運輸相が辞任を表明した。
駅長は事故の原因が技術的な問題である可能性を指摘し、一切の容疑を否認しているという。ギリシャ鉄道労働組合の代表はSkai TVに対し、事故現場の自動信号が作動していなかったと語った。
これに対する当局のコメントは得られていない。
政府は1日から3日間、国全体で喪に服すと宣言した。政府報道官は「負傷者の治療、行方不明者の捜索、犠牲者の親族に対する精神的支援が最優先事項だ」と述べた。
一方、首都アテネでは、約1000人がヘレニック・トレインの社屋前で抗議運動を展開。窓ガラスに石を投げつけるデモ参加者もおり、警察が催涙弾で鎮圧に乗り出す事態となった。
ギリシャの鉄道システムは老朽化が目立ち、多くが依然単線で自動列車制御装置などの設置が進んでいない。
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