[ソウル 11日 ロイター] - 韓国国防省は、オースティン米国防長官が11日に韓国の李鐘燮国防相と電話会談を開き、米国の機密文書流出に関する報道について説明したと発表した。
同省によると、会談は米側の要請で実施。オースティン氏はこの問題で韓国と緊密に連絡を取り合い、協力することを約束した。
文書には、ウクライナへの兵器供与に協力を求める米国からの圧力に関して韓国政府の高官らが内々に話した内容が含まれていた。また、韓国は米国に在庫補充目的で砲弾を売却することに合意し、最終利用者を米軍にするよう念を押したが、韓国高官の内部協議では米国がウクライナに転用することに懸念が示されたと記されている。
韓国は、紛争当事国に兵器を供与することは国内法で禁じられているため、ウクライナに供給できないとしてきた。
こうした文書は米国が同盟国の一角である韓国をスパイしていた可能性を示唆するとして、韓国の議員から非難の声が上がっている。
最大野党「共に民主党」の一部議員は10日、スパイ疑惑を巡り「強い遺憾の意」を表明。国家主権の明らかな侵害であり、尹錫悦政権の安全保障上の大きな失点だとした。
<韓国側は「偽造」と認識>
韓国大統領府の金泰孝国家安保室第1次長は、公開された情報の大半が「偽造された」ものとの認識で米韓が一致していると述べ、韓国に関する報告は「不正確」と断じた。文書のどの部分を指しているのかは説明がなかった。
金氏は、機密文書流出による米韓同盟への影響はないと主張。
記者団に対して「米国は世界で最良の情報能力を有する国であり、(尹氏の)就任以来、われわれはほぼ全てのセクターにおいて情報を共有してきた」と述べた。
大統領府も声明を発表し、韓国の動向が監視されていたという疑惑は「全くの虚偽」と強調した上で、米国との同盟を揺さぶろうとする試みは「国益を損なう」行為と断じた。
尹大統領は今月26日、ワシントンでバイデン大統領と会談する予定。