Xie Yu Kevin Huang Li Gu Carolina Mandl
[香港/ニューヨーク/北京/上海 4日 ロイター] - 経営危機に陥っている中国不動産開発大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)が、人民元建て債の返済延長の承認を債権者から得たことが、複数の関係者の話やロイターが確認した文書で分かった。
同社は、2日に償還期限を迎える39億元(約5億4000万ドル)の債務の返済延長を求め、今後3年間で返していく案を提示していた。債権者らは1日夜、延長を認めるかどうか投票を行った。
投票に関する文書によると、参加した債権者の56.08%が返済延長を支持。反対は43.64%、棄権が0.28%だった。
債務不履行(デフォルト)回避へ時間を稼いだ形で、金融市場にひとまず安堵感が広がりそうだ。不動産業界の支援策を打ち出した中国政府にとっても追い風となる。
ただ別の関係者とロイターが入手した文書によると、一部の小口債券保有者は返済延期の決定に異議を唱えた。
債権者会議の手続きが不公正と訴え、決定を無効にするよう要求しているという。
碧桂園の株価は4日の取引で一時19%上昇し8月10日以来の高値を付けた。香港のハンセン本土不動産指数は9%超上昇。
国泰君安国際のチーフエコノミスト、周浩氏は「中国の主要都市では当局による住宅ローン金利引き下げ措置などにより、今後2、3カ月の間に販売が大幅に改善する可能性がある」と指摘。
その上で「こうした改善が、デベロッパーのキャッシュフローにどのように反映されるかはまだ分からない。デベロッパーのタイプによって恩恵にかなりばらつきが出る見込みで、第1級都市でのプロジェクトが多い企業が最初に恩恵を受ける可能性がある」と語った。
ロイターは碧桂園にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。
碧桂園の財務状況は競合他社と比べると相対的に健全とみられており、これまではオンショア、オフショア含め債務返済が滞ったことはなかった。ところが先月、住宅需要の鈍化がキャッシュフローを直撃し、ドル建て債券の利払いが履行できない状態に陥った。
8月に履行できなかったドル建て債2本の利払い(総額2250万ドル)は、5日に猶予期間が終わる。
他のドル建て債の利払い期限も、年内は毎月到来する。また、調査会社クレジットサイツによると、碧桂園は年末までに国内債券で計126億元の返済に直面する。
複数のオフショア債権者は、オンショア債権者と行ったのと同様に碧桂園がオフショア債権全体の再編交渉に入ることを期待していると述べた。
関係筋によると、1億マレーシアリンギ(約2150万ドル)相当の債券の利払いは2日が期限だったが、履行されたという。
<暗雲は晴れるか>
中国経済を取り巻く暗雲を晴らすことができるかどうかはまだ分からない。
中国当局は多くの施策を打ち出している。最も重要なのは住宅ローン金利の引き下げと、大都市での1軒目購入に対する優遇融資だ。
グローバルマクロヘッジファンド、NWIマネジメント(ニューヨーク)のマネジングディレクター、タラ・ハリハラン氏は「これら供給サイドの措置が住宅購入需要を回復させることができるかどうかを今後数カ月かけて見極めることになる」と述べた。
ただ、市場では住宅販売が回復するまでこのセクターには手を出さないとの声もある。
香港に拠点を置くメガトラスト・インベストメントのチー・ワン最高経営責任者(CEO)は「2020年4月に中国の不動産株を全て売却し、それ以来買い戻していない。今のところ民間デベロッパーに手を出すことはない」と語った。
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