Gabriella Borter
[11日 ロイター] - ユダヤ教の指導者、ジョナサン・リーナー氏が米ニューヨークのブルックリンにある小さなシナゴーグ(教会)の礼拝者コミュニティーに寄付を呼びかけてから1時間後。寄付金は5000ドルに達し、瞬く間にスポーツ用多目的車(SUV)がいっぱいになるほどの救援物資が届いた。
寄付品には、イスラエル国防軍(IDF)から予備役として召集された人のための寝袋から簡易トイレまで、ありとあらゆる物が含まれる。イスラム組織ハマスによる7日のイスラエル攻撃後、IDFは予備役30万人を招集しており、その一部は米国内の居住者だ。
リーナー氏は「ここの人々は(イスラエルから)遠く離れて、無力感のようなものを感じている。だから(寄付の呼びかけに)これ以上無いほど劇的な反応を示した」と語る。同氏によると、コミュニティーの人々の多くはイスラエルに近親者がいる。
ハマスによる攻撃後、全米のユダヤ人コミュニティーから現金数百万ドルのほか、大量の軍服、防弾チョッキ、衣料品、食料、日用品などが寄付された。
この寄付は、米国のユダヤ人とイスラエルとの結びつき、そしてイスラエルへの思いを映し出している。
ピュー・リサーチ・センターによると、米国に住むユダヤ人は約580万人。寄付は小さなシナゴーグの礼拝者から富裕な財界人まで、幅広いコミュニティーから押し寄せている。
資産家のユーリ・ミルナー氏は10日、自身の慈善財団が米非営利組織(NPO)、「イスラエルのためのユダヤ機関」に500万ドルを寄付すると述べた。
著名実業家のマイケル・ブルームバーグ氏は、イスラエルの災害支援・緊急医療サービス組織、「マーゲン・ダビド公社」に寄せられた金額と同額を上乗せして寄付すると約束。広報担当者によると、11日時点で同氏は750万ドルを上乗せ寄付した。
攻撃後、航空各社はイスラエル便の運航を停止しているが、ユダヤ人コミュニティーはコネやソーシャルメディアを利用して、主要都市からイスラエルに少数の便を飛ばす組織と連絡を取ったり、民間便をチャーターして予備役として召集された人や寄付品を運んだりしている。
ユダヤ教の食事法に則った食事「コーシャ」を提供するレストラン企業(ブルックリン)のトップ、エラン・コーンブラム氏は、フォロワー9万1000人を抱える同社のフェイスブック・ページを、イスラエル向け支援フォーラムに転用した。
フォロワーからは、空港に支援物資を運ぶとの申し出や、ニューヨークで献血ができる場所の問い合わせなどが寄せられている。IDFの小隊にいる家族に送る防弾チョッキをどうすれば買えるか、と質問したフォロワーには、別のフォロワーから防弾チョッキを持っている友達を紹介する、との回答があった。
「ここにいるわれわれが、手助けするのは当然のことだ」とコーンブラム氏は言う。
一方で「パレスチナの子どもの救援基金」はウェブサイトで、ガザ地区の子どもへの医療・人道支援のための献金を呼びかけている。
「国境なき医師団」と「赤十字国際委員会」は、いずれもイスラエル、パレスチナ自治区の双方で活動しており、ウェブサイトで寄付を受け付けている。
ただ、イスラエルがガザへの食糧・物資供給などを阻止しているため、これら団体の努力は阻害される恐れもある。
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