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ネットイヤー Research Memo(3):プロジェクト管理体制強化等により不採算プロジェクトが大幅縮小

発行済 2018-12-07 15:13
更新済 2018-12-07 15:20
ネットイヤー Research Memo(3):プロジェクト管理体制強化等により不採算プロジェクトが大幅縮小
3622
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■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期累計業績
ネットイヤーグループ (T:3622)の2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比3.8%減の2,537百万円、営業損失が154百万円(前年同期は194百万円の損失)、経常損失が155百万円(同194百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が154百万円(同224百万円の利益)となった。


2017年8月に連結子会社だったrakumoの全株式を売却したことにより、売上高で130百万円、営業利益で10百万円の減収減益要因となっている。
同要因を除いた既存事業ベースでは売上高が1%増となり、営業損失が50百万円縮小している。
また、前年同期はrakumoの株式売却益413百万円を特別利益として計上したため、四半期純利益は黒字であったが、当第2四半期累計では特別利益が無く、純利益段階でも損失計上となった。


売上高の内訳を見ると、子会社のトライバルメディアハウスが前年同期比30%増と好調に推移した一方で、単独ベースの売上高は同10%減となった。
これは赤字体質からの脱却を図るため、受託開発の収益性改善施策として、値引きの抑制、プロジェクト管理体制の強化による不採算プロジェクトの発生防止、顧客サイズ・商談サイズの大型化による営業効率の向上の3点に取り組み、結果として低単価案件や低採算案件の売上げが減少したことが主因となっている。


値引きの抑制については、チャージレート(稼働に対する適正価格)と実売価の差額が前年同期は4.7億円あったが、当第2四半期累計では1.0億円まで縮小している。
なお、この1.0億円分のうち1.4億円は2018年3月期から継続していた赤字プロジェクトの売上計上によるもので、実質ベースでは値引き受注はほぼ無くなったと見てよい。
また、赤字プロジェクトによる損失額(第2四半期累計期間に受注、売上計上した案件)についても、前年同期の25百万円から2百万円に大幅減少している。
受注前段階での要件定義や見積額の精査を厳格に行ったほか、受注の値引き抑制あるいは値上げ交渉に取り組んだこと、プロジェクトの進捗管理の徹底を図ったことが不採算プロジェクトの大幅減少につながった。
こうした取り組みの結果、単独ベースの売上総利益は前年同期比3%減となり、売上粗利益率も若干改善した。


なお、トライバルメディアハウスも当第2四半期累計は自社メディアの「Funmee!!」への投資が継続していることから営業損失を計上しているが、SNSを使ったキャンペーンプロモーションなどの受注好調により、前年同期比では若干縮小している。



自己資本比率は70%超で財務の健全性は維持
2. 財務状況と経営指標
2019年3月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比597百万円減少の2,606百万円となった。
主な増減要因を見ると、流動資産では季節要因により売上債権が578百万円減少したほか、仕掛品が45百万円減少し、現預金は3百万円の増加となった。


負債合計は前期末比419百万円減少の721百万円となった。
買掛金が184百万円減少したほか、有利子負債が66百万円、受注損失引当金が62百万円、未払法人税・消費税等が55百万円それぞれ減少した。
また、純資産合計は前期末比178百万円減少の1,884百万円となった。
親会社株主に帰属する四半期純損失154百万円や配当金の支払22百万円が減少要因となっている。


経営指標を見ると、自己資本比率が前期末の63.5%から71.2%に上昇しており、有利子負債比率も7.5%から4.6%に低下するなど財務体質の改善が進んだと言える。
当面は本業の収益力回復を優先して取り組む方針となっており、資金投下先としては人材のスキルアップを目的とした教育研修費用やマーケティング強化のための費用に充当していく予定で、M&Aについては収益力が回復し、安定成長軌道に入ってから再開するものと考えられる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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