[ストックホルム 18日 ロイター] - ベンチャーキャピタル会社アクセルの2022年報告書によると、欧州、イスラエル、米国の非上場クラウドコンピューティング企業への投資総額が第3・四半期に42%減少した。
第1・四半期にはクラウドソフトウエア開発企業の資金調達で10億ドル超と評価されたのは51社あったが、第3・四半期は3社だけになったという。上場企業でもクラウド企業の時価総額はこの1年で計2兆8000億ドルから1兆2000億ドルに減少した。
個別企業では米マイクロソフトやカナダ系のショピファイなども時価総額が落ちた。専門別ではデータ分析からセキュリティー事業まで多岐に価値が減った。米データ分析ソフト会社スノーフレークの売上高見通しに対する評価倍率は、昨年9月は61倍だったが、今年9月は20倍に縮小した。
アクセルのパートナー、ボッテリ氏によると、クラウド業界はここ数年で爆発的に伸びたが、現在大きな出直しになっているのは明らかだという。金利上昇やインフレ高進の影響が指摘された。
ただ、報告書はソフト業界のクラウド化の流れそのものは堅固だと指摘。報告書の対象地域の自動化・デジタル変革への支出総額が今年の1兆8000億ドルから、25年までに2兆8000億ドルに拡大する可能性が高いとした。価値評価減少はかえって企業の合併・買収(M&A)の可能性を高めるとも指摘。
さらにクラウド企業の買収向けに約7700億ドルの資金が待機している状態で、このうち戦略的な投資家が保有する現金が4400億ドル、IT重視のプライベート・エクイティ・ファンドの資金が3300億ドルとした。