[ロンドン 19日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は19日、金融システム全体を対象とする初のストレステスト(健全性審査)を開始したことを明らかにした。
市場が極度のストレスに見舞われた場合、大手銀行、保険会社、決済機関、投資ファンドが全体としてどのように行動するかを検証する。
中銀は昨年12月、投資ファンドなどノンバンク金融機関に対し、初の健全性審査を実施する方針を表明。同国では昨年9月、トラス前政権の減税計画をきっかけとした国債暴落で年金基金の利用するライアビリティー・ドリブン・インベストメント(LDI、債務主導投資)ファンドの追加担保差し入れが困難になった。
新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)後の市場のストレス時にはマネーマーケットファンド(MMF)が「現金への殺到」で圧力に見舞われている。
中銀はこれまで銀行と保険会社の健全性審査を別個に行ってきたが、今回は初めて金融システム全体を対象とする健全性審査を行う。結果は来年明らかになる見通し。
参加機関は健全性審査の設計と実行に積極的に関与する。審査では英国債・レポ市場、ポンド建て社債市場、関連デリバティブ市場を重視する。
中銀によると、個別金融機関の強靭性を審査するものではなく、個々の金融機関に関する詳細は公表しない。
これまでノンバンク金融機関は証券規制当局が監督してきたが、各国中銀は巨大なノンバンク部門の実態把握を目指している。