[フランクフルト 17日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会内でタカ派とされるカジミール・スロバキア中銀総裁とシムカス・リトアニア中銀総裁は17日、銀行部門の混乱が続く中でもECBは利上げを継続する必要があるとの考えを示した。
ECBは16日の理事会で、金融市場の混乱で世界的な銀行危機への懸念が高まる中でもインフレ対応を優先させ、0.5%ポイントの大幅利上げを決定。ただ「不確実性」が高まる中、今後の動きは入手されるデータ次第になるとの姿勢を示した。
カジミール総裁はこの日、インフレ見通しの上振れリスクが高いとし、ECBは利上げを継続する必要があると主張。ブログで「金融市場の現在の状況を踏まえても、継続が必要だとの認識は変わらない」とし「デリケートな状況であることは十分承知しているが、まだゴールにはたどり着いていない」と述べた。
シムカス総裁もリトアニアの首都ビリニュスで記者団に対し、16日の利上げは「最後の利上げにならない」と語った。
ただ両氏は共に、次回5月4日の理事会で利上げを実施すべきとは主張しなかった。
ビルロワドガロー仏中銀総裁はこの日、ECBの前日の利上げについて、ECBがインフレ抑制を優先していることや欧州の銀行の堅実性に強い自信を持っていることを反映していると表明。ECBには「銀行の流動性を確実にする手段」があるが、「欧州の銀行の状況は米国の銀行と同じではない」ため、そうした手段の活用が必要になる可能性は低いと述べた。
ECBは16日の理事会声明から、今後の政策の動きに関するガイダンスを全て削除し、インフレと成長率が予想から振れる可能性などについても何の評価も示さなかった。
ECBはこの日、最近の市場混乱を受けた銀行業界の状況を検証するため、監督理事会が特別会合を開催。関係筋によると、監督理事会は特別会合で、スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安や一部の米金融機関の経営破綻などを受けた市場の混乱はユーロ圏の銀行に波及していないとの判断を示した。
金融市場のボラティリティーが高まる中、ゴールドマン・サックスはこの日、ECBは5月の理事会で0.25%ポイント利上げすると予想し、利上げ幅見通しをこれまでの0.50%ポイントから引き下げた。HSBCとバークレイズも0.25%ポイントの利上げを予想している。