[ニューヨーク 10日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、先週発表された3月の米雇用統計が堅調だったことで5月の利上げ観測が高まり、ドルが上昇した。一方、日銀の植田和男新総裁が現在の大規模緩和の継続が適切との考えを示したことを受け、円は対ドルで下落した。
日銀の植田新総裁は10日の就任会見で、現在の長短金利操作(YCC)など大規模緩和を継続することが適切との考えを示したほか、マイナス金利政策についても、基調的なインフレ率が2%に達していない中では継続するのが適当だと語った。
終盤の取引でドルは対円で1.12%高の133.615円。一時133.87円と、3月15日以来の高値を付けた。
米労働省が7日発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が23万6000人増と市場予想を下回ったものの、堅調なペースを維持。失業率は2月の3.6%から3.5%に低下し、労働市場の逼迫が示されたことで、市場では連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が高まった。
バノックバーン・グローバルフォレックス(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「市場の予想は、5月初めの次回連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定される方向に振れている」とし、ドルは短期的に押し上げられるとの見方を示した。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.53%高の102.55。一時は102.81と、今月3日以来の高値を付けた。
ユーロは0.36%安の1.0859ドル。一時は1.08315ドルと、今月3日以来の安値を付けた。
FRBの金融政策の手がかりを得ようと、市場は12日に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)に注目。フェデラル・ファンド(FF)金利先物は、5月2─3日のFOMCで0.25%ポイントの追加利上げが決定される確率が74%であることを織り込む水準にある。
豪ドルとニュージーランドドルは、中国軍が8日に3日間の日程で台湾周辺で演習を開始したこと受け下落。
終盤の取引で豪ドルは0.51%安の0.6674米ドル、ニュージーランドドルは1.01%安の0.6211米ドル。一時はそれぞれ3月16日、3月27日以来の安値を付けた。
ドル/円 NY終値 133.60/133.63
始値 132.30
高値 133.87
安値 132.25
ユーロ/ドル NY終値 1.0859/1.0863
始値 1.0906
高値 1.0908
安値 1.0832