[4日 ロイター] - 10月の米雇用統計で雇用の堅調な伸びが示されたにもかかわらず、連邦準備理事会(FRB)当局者は4日、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)でより小幅な利上げを検討する意向を示した。
米労働省が4日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は市場予想を上回った。9月の増加幅は前回発表の26万3000人から31万5000人に上方修正されたが、失業率は9月の3.5%から3.7%に上昇した。
米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁はCNBCで「労働需要が依然として堅調という関係者から聞いた話と一致している」と指摘。失業率や賃金を見る限り「労働市場は依然として引き締まっている」とし、労働参加率が低下しているため、供給面の改善もさほど望めず、「まだやるべきことがある」とした。
反面、利上げ期間が従来想定より長期化し、政策金利の最終到達点が高くなる可能性があるとしながらも、今後のFRBによる利上げペースの検討についてより「慎重に」行動する用意があると述べた。
米シカゴ地区連銀のエバンス総裁はロイターとのインタビューで、FRBによる一連の大幅利上げについて「今後はもうフロントローディングではなく、適切な水準の制限を模索することになる」と指摘。「0.75%ポイントではないペースに落とし、FOMCに少し余裕を持たせ、最終的に望む水準以上に引き上げ過ぎる前にデータをより注視するというのが私にとって理にかなっている」とした。
米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は「金利が制約的な領域に入った今、金利引き上げの速度や幅ではなく、むしろどこまで引き上げるか、何が十分に制約的であるかを判断することに焦点を移す時に至ったと確信している」と指摘。FRB当局者が現在の引き締めサイクルのピークになると想定していた4.50─4.75%以上に政策金利を引き上げなければならないかもしれないが、ピークがどの程度になるのかを語るのは時期尚早とした。
雇用統計を受け、米短期金利先物市場では12月13─14日のFOMCでの0.50%ポイントの利上げ確率が0.75%ポイントの利上げ確率を上回った。また、来年3月までに政策金利が5.00─5.25%に達するとの見方がなお大勢だが、それ以上に上昇するとの見方は後退している。
ハイフリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は「データは依然として労働市場の力強いポジティブな勢いを示しており、金融政策の急速な引き締めを受けた大幅な調整はまだ見られない」と述べた。
しかしコリンズ総裁は、雇用統計は好調に見えるものの、経済の現状と完全に一致していない可能性があると言及。米経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から回復する際に労働供給を巡る問題が生じ、足元では多くの企業が確保できなかった雇用を引き続き取り戻そうとしているため、雇用統計は「現時点で遅行指標として機能している可能性がある」とした。