■中長期の成長戦略
1. 新中期経営計画「Gakken2018」
学研ホールディングス (T:9470)は前回の中期経営計画である「Gakken 2016」が目標を達成して終了したことを受けて、新しい中期経営計画「Gakken 2018」を発表した。
同社では新中期経営計画を「持続的成長へのテイクオフ」と位置付け、新たな経営方針を掲げている。
すなわち、「教育分野」では、2020年の新学習指導要領全面実施や、小学校英語の教科化などの環境変化を視野に入れ、新規事業の立ち上げと新商品の開発に取り組み、収益基盤を強固なものとする。
「医療福祉分野」では、学研ならではの「地域包括ケアシステム」を推進することで、事業の一層の拡大と収益力の強化に努める。
また、経営基盤の強化を実現し、資本効率の向上と同時に株主還元を積極的に行う方針だ。
定量的な目標としては、2018年9月期に売上高1,100億円、営業利益35億円、売上高営業利益率3.2%、当期純利益21億円、売上高当期純利益率1.9%、ROE 7.0%を掲げている。
2. セグメント別事業戦略と数値目標
各セグメント別には、それぞれに変化する市場環境において、以下のような重点施策の実行を計画するとともに、数値目標を掲げている。
(1) 教育サービス事業
市場環境としては、楽観視はできないが、方針として、「教室・校舎の積極拡大とそれを加速させる戦略商品の開発で、将来に向けて盤石の収益体制を構築する」を掲げている。
具体的な重点施策は以下のとおりである。
1)学研教室国内:市場環境としては、少子化が一段と進み、塾や教室の生存競争は激しさを増すと予想される。
その中で、従来型フランチャイズ教室と法人契約教室の積極的展開により教室数・会員数を拡大する。
また顧客視点に立ち、多様な教育サービスを提供する。
(例:学研ゼミコース・中高生部門の増設)
2)学研教室海外:新興国の経済成長は続き、アジア諸国の文教予算や家庭の教育費は増額が見込まれる。
そのような状況下で、同社が長年培ってきた思考力や判断力を育む教材やフランチャイズシステムのノウハウを活かして、中韓・ASEANにおける学研教室型ビジネスモデルを展開する。
3)進学塾:新学習指導要領が実施され、集団学習から個別学習へ需要がシフトする環境の中で、校舎数拡大と学研ゼミを起点とする新規顧客づくり、新しい個別学習システム「G-PAPILS」の試行と普及拡大に注力する。
この結果として、2018年9月期には売上高29,000百万円、営業利益1,300百万円を目指す。
増収ながら競争激化や費用先行のため、僅かながらの減益を予想している。
(2) 教育コンテンツ事業
教育図書への根強い需要や電子書籍市場の拡大など収益拡大の機会が増している。
そのような環境下で、方針として、「出版からコンテンツ事業への業態転換を推進し、事業の多様化を図り、安定的に利益を創出する」を掲げている。
具体的な重点施策は以下のとおりである。
1)出版:市場動向としては、2018年新学習指導要領先行実施、2020年新学習指導要領全面実施が予定されているが、一方で出版市場の長期的縮小、書店数の減少が懸念される。
このような環境下で、同社の強みである教育コンテンツ開発力、学習参考書ツートップの実績(学研プラス、文理)を活かして、競合の追随を許さないコンテンツ開発力をさらに磨き、学研プラス+文理の連携で学参、児童書の市場を席巻する。
2)出版プラス※:実践的英語力の需要拡大や大学入試改革の実施など、市場環境は追い風が予想される。
そのような環境下で、英語コンテンツ開発力を生かした多世代向け英語事業の拡大展開を図る。
さらに塾・予備校に配信中の大学受験用映像教材「学研プライムゼミ」の講座拡充と学校、家庭への販路拡大を狙う。
3)デジタル:教育総合ポータルサイト「学研ゼミ」のコンテンツ拡充と会員獲得、及び今後も拡大が予想される電子出版の商品点数と販路拡大を目指す。
※出版プラス=ブランドやコンテンツの活用による、出版の枠を超えた「受託」「通販」「WEB広告」「イベント」「プロパティライセンス」等の事業
同事業では、2018年9月期には売上高36,000百万円、営業利益900百万円を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 新中期経営計画「Gakken2018」
学研ホールディングス (T:9470)は前回の中期経営計画である「Gakken 2016」が目標を達成して終了したことを受けて、新しい中期経営計画「Gakken 2018」を発表した。
同社では新中期経営計画を「持続的成長へのテイクオフ」と位置付け、新たな経営方針を掲げている。
すなわち、「教育分野」では、2020年の新学習指導要領全面実施や、小学校英語の教科化などの環境変化を視野に入れ、新規事業の立ち上げと新商品の開発に取り組み、収益基盤を強固なものとする。
「医療福祉分野」では、学研ならではの「地域包括ケアシステム」を推進することで、事業の一層の拡大と収益力の強化に努める。
また、経営基盤の強化を実現し、資本効率の向上と同時に株主還元を積極的に行う方針だ。
定量的な目標としては、2018年9月期に売上高1,100億円、営業利益35億円、売上高営業利益率3.2%、当期純利益21億円、売上高当期純利益率1.9%、ROE 7.0%を掲げている。
2. セグメント別事業戦略と数値目標
各セグメント別には、それぞれに変化する市場環境において、以下のような重点施策の実行を計画するとともに、数値目標を掲げている。
(1) 教育サービス事業
市場環境としては、楽観視はできないが、方針として、「教室・校舎の積極拡大とそれを加速させる戦略商品の開発で、将来に向けて盤石の収益体制を構築する」を掲げている。
具体的な重点施策は以下のとおりである。
1)学研教室国内:市場環境としては、少子化が一段と進み、塾や教室の生存競争は激しさを増すと予想される。
その中で、従来型フランチャイズ教室と法人契約教室の積極的展開により教室数・会員数を拡大する。
また顧客視点に立ち、多様な教育サービスを提供する。
(例:学研ゼミコース・中高生部門の増設)
2)学研教室海外:新興国の経済成長は続き、アジア諸国の文教予算や家庭の教育費は増額が見込まれる。
そのような状況下で、同社が長年培ってきた思考力や判断力を育む教材やフランチャイズシステムのノウハウを活かして、中韓・ASEANにおける学研教室型ビジネスモデルを展開する。
3)進学塾:新学習指導要領が実施され、集団学習から個別学習へ需要がシフトする環境の中で、校舎数拡大と学研ゼミを起点とする新規顧客づくり、新しい個別学習システム「G-PAPILS」の試行と普及拡大に注力する。
この結果として、2018年9月期には売上高29,000百万円、営業利益1,300百万円を目指す。
増収ながら競争激化や費用先行のため、僅かながらの減益を予想している。
(2) 教育コンテンツ事業
教育図書への根強い需要や電子書籍市場の拡大など収益拡大の機会が増している。
そのような環境下で、方針として、「出版からコンテンツ事業への業態転換を推進し、事業の多様化を図り、安定的に利益を創出する」を掲げている。
具体的な重点施策は以下のとおりである。
1)出版:市場動向としては、2018年新学習指導要領先行実施、2020年新学習指導要領全面実施が予定されているが、一方で出版市場の長期的縮小、書店数の減少が懸念される。
このような環境下で、同社の強みである教育コンテンツ開発力、学習参考書ツートップの実績(学研プラス、文理)を活かして、競合の追随を許さないコンテンツ開発力をさらに磨き、学研プラス+文理の連携で学参、児童書の市場を席巻する。
2)出版プラス※:実践的英語力の需要拡大や大学入試改革の実施など、市場環境は追い風が予想される。
そのような環境下で、英語コンテンツ開発力を生かした多世代向け英語事業の拡大展開を図る。
さらに塾・予備校に配信中の大学受験用映像教材「学研プライムゼミ」の講座拡充と学校、家庭への販路拡大を狙う。
3)デジタル:教育総合ポータルサイト「学研ゼミ」のコンテンツ拡充と会員獲得、及び今後も拡大が予想される電子出版の商品点数と販路拡大を目指す。
※出版プラス=ブランドやコンテンツの活用による、出版の枠を超えた「受託」「通販」「WEB広告」「イベント」「プロパティライセンス」等の事業
同事業では、2018年9月期には売上高36,000百万円、営業利益900百万円を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)