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システムインテ Research Memo(2):独立系のソフトウェア開発会社、開発支援ツールで高シェア

発行済 2018-11-14 15:12
更新済 2018-11-14 15:40
システムインテ Research Memo(2):独立系のソフトウェア開発会社、開発支援ツールで高シェア
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■事業概要

システムインテグレータ (T:3826)は1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社で、パッケージソフトの開発販売及び保守サービス、コンサルティング業務等を行っている。
また、新製品に関しては基本的にクラウドサービス型での事業展開を指向している。
現在の主力製品は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」のほか、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」等がある。
事業セグメントに関しては、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業、ERP事業のほか、新規事業をその他として区分開示している。


2019年2月期第2四半期累計の売上構成比で見ると、ERP事業が全体の64.7%と過半を占めており、残りをObject Browser事業、EC・オムニチャネル事業で2分する格好となっているが、営業利益で見るとObject Browser事業が55.9%と最も比率が高く、次いでERP事業が44.4%、EC・オムニチャネル事業が27.3%となっている。
また、その他については先行投資期間のため、まだ利益貢献していない。
Object Browser事業のセグメント利益率は42.0%と高収益事業となっているが、これは競合先がほとんどなく市場シェアが高位安定していること、月額課金収入や保守サポート収入等のストック型の売上比率が高いこと等が要因となっている。
各事業の内容は以下のとおり。


1. Object Browser事業
Object Browser事業ではデータベース開発支援ツール「SI Object Browser」やデータベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」(以下、「SI Object Browser」シリーズ)のほか、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」、2013年6月にリリースしたアプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer(以下、OBDZ)」等のソフトウェア製品の開発販売を行っている。
また、「OBPM」や「OBDZ」についてはパッケージ販売、クラウドサービスの両方に対応している。


売上構成比は「SI Object Browser」シリーズが5割弱、「OBPM」が5割強となっている。
「SI Object Browser」シリーズについては1997年の発売以来1.6万社に導入され、国内ではデファクトスタンダードとなっている。
現在は売上高の30%弱が保守サポート等のストック型収入となっており、毎年安定した売上が見込めるほか販売費用もほとんどかからないため、売上総利益率は約90%と高収益製品となっている。


一方、「OBPM」は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理(スケジュール、コスト、要員、品質、採算等の管理)することで、不採算プロジェクトの発生を未然に抑止し、開発部門の生産性向上を支援するツールとなる。
国内で唯一、PMBOK※に準拠した製品で2008年の発売以降、2018年8月時点の導入社数は160社を超え、年率15%前後の成長が続いている。
市販品での競合品がほとんどなく、売上高の約50%超が月額課金等のストック型収入で占められるため、安定した成長が続いているほか、売上総利益率も65%前後と高くなっている。
ただ、広告費や導入サポート費用等がかかるため、「SI Object Browser」シリーズと比較すると営業利益率はやや低くなっている。
導入企業は中堅規模のIT企業が多い。
大手は自社開発品を使用し、中小企業ではExcelなど市販ソフトを使って管理しているケースが大半のためだ。
ただ、認知度向上や品質の高さなどから大企業でも導入を検討するところが出てきたほか、製造業やエンジニアリング業からの引き合いも増え始めている。
このため2017年2月期より大手企業の部門導入向けに機能を限定したライト版、製造業向けにエンジニアリング版の販売をクラウドサービスで開始している。


※PMBOK(Project Management Body of Knowledge)・・・プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。
1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、現在はプロジェクトマネジメントの世界標準として世界各国に浸透している。



「OBDZ」はソフトウェア開発の上流工程である基本設計・詳細設計をシステム化し、合理化・標準化することで開発の生産性及び品質向上を支援するツールで、ソフトウェア開発分野におけるCADとも言える製品となる(特許取得済み)。
従来は、エンジニアがExcelやWordで個々に設計書を作成していたため、仕様変更が発生した場合などのメンテナンス、変更管理が難しくなり、開発遅延の原因にもなるといった課題があったが、こうした設計書をデータベースで統合管理し、標準化及び合理化するシステムとなる。
このため用途としては、基幹業務システム等の大規模なウォーターフォール型システム開発に向いている製品となる。
2013年のリリース以降、機能改良の途上段階ではあるものの、導入社数が30社となり徐々に契約数も増え始めている。
同社では従来C/S(クライアントサーバー)型製品を販売してきたが、2019年度には性能を向上したWeb版の販売を開始する予定となっている。


2. EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業では、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として販売している。
「SI Web Shopping」の特徴は、大規模ECサイトに強いということにある。
具体的には、売上金額が数百億円規模となる大量のトランザクション処理に対応可能なスケーラビリティと、高いセキュリティ機能を有しており、スマートフォン等のモバイル対応機能や、英語、中国語など多言語への対応も行っている。
発売以降22年間で1,100社以上のECサイトを構築しており(アクティブ稼働数は1割弱)、豊富な開発ノウハウや高い技術力が同社の強みとなっている。


ECサイト構築パッケージ業界でのポジションは、大規模事業者向けに限定すれば同社と、ソフトクリエイトホールディングス (T:3371)の子会社である(株)ecbeing、(株)コマース21の3社でほぼ寡占状態となっていたが、ここ最近はSierとの競合も増えてきている。
最近の傾向としてECサイト構築パッケージに他の業務システムとの連携機能を付加するといったニーズが増えてきているためで、1件当たりの受注単価も従来は数千万円規模だったものが100百万円を超える案件が増えるなど大型化が進んでいる。


3. ERP事業
ERP事業では完全Web型ERPパッケージ「GRANDIT」の開発、導入販売を行っている。
「GRANDIT」は13社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、同社は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。
「GRANDIT」の顧客ターゲットは年商数百億円規模の中堅企業となり、導入社数はコンソーシアム全体で980社超まで拡大している。
「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、また、スマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。
ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であれば、どこでもシステムの利用が可能となる。
また、13社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に生かされるため、機能面での競争力も高い。


同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムの中でトップの実績を誇っており、2016年、2017年と2年連続で販売実績No.1の企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」を受賞している(累計5回受賞)。
「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」を、ソフトウェア業界向けには「OBPM」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」を自社開発しており、拡販を進めている。
また、クラウド型ERP市場の拡大を受けて、2017年2月期よりアマゾンウェブサービス(AWS)を利用した「GRANDIT on AWS」の提供も開始しており、数社で導入されている。


2017年度の国内ERP市場は前年度比11.7%増の約903億円規模になったと見られる。
大企業を中心に基幹システムの再構築が進んでいることが要因で、2018年度以降も引き続き10%前後の堅調な拡大が続くと予想されている。
ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けが成されており、大企業向けではSAPやOracleが圧倒的に強い。
同社の顧客対象は従来、中堅企業向けが中心で競合品は富士通 (T:6702)の「GLOVIA」やオービック (T:4684)の「OBIC7」などであったが、ここ最近は顧客ニーズの多様化に伴い受注案件の大型化が進んでいる。
受注額としては従来、100百万円規模の案件が多かったが、最近は機能追加等のニーズが増えたことにより500百万円規模の受注案件が増えている。
売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概に言えないが、平均すると20%台の水準と見られる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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