■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
システムインテグレータ (T:3826)のObject Browser事業の売上高は前年同期比14.7%増の366百万円、営業利益は同10.7%増の153百万円となった。
ソフトウェア開発の生産性向上ツールとなる「SI Object Browser」シリーズについては、既に業界デファクトスタンダードとして幅広く利用されていることもあり、売上高は前年同期比横ばい水準にとどまったものの、統合プロジェクト管理ツール「OBPM」の導入社数が前期末の150社超から160社超と着実に伸びたことが増収要因となった。
プロジェクト管理の重要性はIT業界だけでなく、製造業やエンジニアリング業界等でも高まっており、これら新たな業種への導入も徐々に広がってきている。
アプリケーション設計ツールの「OBDZ」については現在、Web版の開発を進めていることもあり、積極的なプロモーション活動は行っておらず、導入社数は前期末比微増の30社となった。
利益率は前年同期の43.5%から42.0%に低下したが、これは売上構成比の変化に加えて、前期に抑制していたネット広告などマーケティング費用を積み増したことが要因となっている。
(2) EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業の売上高は前年同期比24.9%増の366百万円、営業利益は同293.5%増の75百万円となった。
競争激化によりここ数年は減収傾向が続いていたものの、EC事業者の成長につれて大量トランザクション処理やセキュリティ対策の強化、また他の業務システムとの連携などECサイトの大規模化、多機能化ニーズが高まっており、20年以上の開発実績と高い技術力を持つ同社にこうした大規模ECサイトの開発依頼が既存顧客だけでなく、新規顧客からも増えてきているのが要因だ。
利益面では、受注案件の大規模化が進むなかで開発の生産性向上が進んだことにより、営業利益率で前年同期の6.5%から20.5%に大きく向上した。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比59.7%増の1,352百万円、営業利益は122百万円(前年同期は2百万円の損失)と大幅増収増益となった。
企業のIT投資拡大を追い風に、「GRANDIT」のなかでも自社開発品となる「個別生産管理アドオンモジュール」「繰返生産管理アドオンモジュール」の受注が製造業向けに拡大し、増収増益要因となった。
また、顧客からの追加機能開発ニーズも強く、1案件当たりの受注額も顧客企業の大型化が進んでいることにより上昇傾向にある。
顧客の事業規模も従来は年商で300〜500億円が中心であったが、現在は500億円以上の顧客が増える傾向にある。
大幅増収により営業利益も黒字転換している。
(4) その他
その他(新規事業)の売上高は4百万円(前年同期は売上計上なし)、営業損失は76百万円(前年同期は4百万円の損失)となった。
新規事業としてはプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」と人工知能関連サービス「AISI∀」シリーズを展開しており、2019年2月期第2四半期累計期間は「TOPSIC」で4百万円の売上を計上している。
「TOPSIC」は受験者のプログラミングスキルをオンライン・リアルタイムに判定できるシステムで、クラウドサービスで提供している。
IT企業における中途採用者のスクリーニングや社員のプログラミング教育等での利用が進んでおり、2018年8月末の契約社数は25社と順調に増加している。
一方、「AISI∀」シリーズについてはBtoB市場をターゲットに、画像認識による設計データリバースサービス「AISI∀-DR(DesignRecognition)」、フリーミアム(無料)モデルの企業情報検索サービス「AISI∀-CL(CompanyList)」、ディープラーニングを活用した異常検知システム「AISI∀-AD(AnomalyDetection)」の3つのサービスを発表しているが、いずれもまだ準備段階にあり、売上貢献は2019年以降となる見通しだ。
調停成立と収益拡大により自己資本比率が大きく上昇
3. 財務状況と経営指標
2019年2月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比586百万円減少の2,603百万円となった。
主な増減要因を見ると流動資産では、現金及び預金が342百万円増加した一方で、売掛金が129百万円、仕掛品が1,052百万円減少した。
仕掛品の減少は2015年2月期に発生した大規模不採算案件の調停成立による減少となっており、対応する負債項目として受注損失引当金が982百万円減少している。
固定資産では、ソフトウェアが43百万円増加したほか、投資その他資産が118百万円増加した。
負債合計は前期末比860百万円減少の758百万円となった。
前受金が132百万円増加した一方で、受注損失引当金が982百万円減少した。
また、純資産は四半期純利益の計上387百万円と配当金の支払い105百万円などにより、前期末比で274百万円増加の1,844百万円となった。
経営指標を見ると、受注損失引当金の減少と収益増により、自己資本比率が前期末の49.2%から70.8%に大幅上昇した。
前述した大規模不採算案件が発生する直前期(2014年2月期末)の自己資本比率は72.6%だったため、ほぼ同水準まで回復したことになる。
財務内容は無借金経営が続いており、現金及び預金の水準も1,259百万円と2014年2月期末の水準(1,130百万円)を上回る過去最高水準に達しており、良好な状態にあると判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
システムインテグレータ (T:3826)のObject Browser事業の売上高は前年同期比14.7%増の366百万円、営業利益は同10.7%増の153百万円となった。
ソフトウェア開発の生産性向上ツールとなる「SI Object Browser」シリーズについては、既に業界デファクトスタンダードとして幅広く利用されていることもあり、売上高は前年同期比横ばい水準にとどまったものの、統合プロジェクト管理ツール「OBPM」の導入社数が前期末の150社超から160社超と着実に伸びたことが増収要因となった。
プロジェクト管理の重要性はIT業界だけでなく、製造業やエンジニアリング業界等でも高まっており、これら新たな業種への導入も徐々に広がってきている。
アプリケーション設計ツールの「OBDZ」については現在、Web版の開発を進めていることもあり、積極的なプロモーション活動は行っておらず、導入社数は前期末比微増の30社となった。
利益率は前年同期の43.5%から42.0%に低下したが、これは売上構成比の変化に加えて、前期に抑制していたネット広告などマーケティング費用を積み増したことが要因となっている。
(2) EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業の売上高は前年同期比24.9%増の366百万円、営業利益は同293.5%増の75百万円となった。
競争激化によりここ数年は減収傾向が続いていたものの、EC事業者の成長につれて大量トランザクション処理やセキュリティ対策の強化、また他の業務システムとの連携などECサイトの大規模化、多機能化ニーズが高まっており、20年以上の開発実績と高い技術力を持つ同社にこうした大規模ECサイトの開発依頼が既存顧客だけでなく、新規顧客からも増えてきているのが要因だ。
利益面では、受注案件の大規模化が進むなかで開発の生産性向上が進んだことにより、営業利益率で前年同期の6.5%から20.5%に大きく向上した。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比59.7%増の1,352百万円、営業利益は122百万円(前年同期は2百万円の損失)と大幅増収増益となった。
企業のIT投資拡大を追い風に、「GRANDIT」のなかでも自社開発品となる「個別生産管理アドオンモジュール」「繰返生産管理アドオンモジュール」の受注が製造業向けに拡大し、増収増益要因となった。
また、顧客からの追加機能開発ニーズも強く、1案件当たりの受注額も顧客企業の大型化が進んでいることにより上昇傾向にある。
顧客の事業規模も従来は年商で300〜500億円が中心であったが、現在は500億円以上の顧客が増える傾向にある。
大幅増収により営業利益も黒字転換している。
(4) その他
その他(新規事業)の売上高は4百万円(前年同期は売上計上なし)、営業損失は76百万円(前年同期は4百万円の損失)となった。
新規事業としてはプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」と人工知能関連サービス「AISI∀」シリーズを展開しており、2019年2月期第2四半期累計期間は「TOPSIC」で4百万円の売上を計上している。
「TOPSIC」は受験者のプログラミングスキルをオンライン・リアルタイムに判定できるシステムで、クラウドサービスで提供している。
IT企業における中途採用者のスクリーニングや社員のプログラミング教育等での利用が進んでおり、2018年8月末の契約社数は25社と順調に増加している。
一方、「AISI∀」シリーズについてはBtoB市場をターゲットに、画像認識による設計データリバースサービス「AISI∀-DR(DesignRecognition)」、フリーミアム(無料)モデルの企業情報検索サービス「AISI∀-CL(CompanyList)」、ディープラーニングを活用した異常検知システム「AISI∀-AD(AnomalyDetection)」の3つのサービスを発表しているが、いずれもまだ準備段階にあり、売上貢献は2019年以降となる見通しだ。
調停成立と収益拡大により自己資本比率が大きく上昇
3. 財務状況と経営指標
2019年2月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比586百万円減少の2,603百万円となった。
主な増減要因を見ると流動資産では、現金及び預金が342百万円増加した一方で、売掛金が129百万円、仕掛品が1,052百万円減少した。
仕掛品の減少は2015年2月期に発生した大規模不採算案件の調停成立による減少となっており、対応する負債項目として受注損失引当金が982百万円減少している。
固定資産では、ソフトウェアが43百万円増加したほか、投資その他資産が118百万円増加した。
負債合計は前期末比860百万円減少の758百万円となった。
前受金が132百万円増加した一方で、受注損失引当金が982百万円減少した。
また、純資産は四半期純利益の計上387百万円と配当金の支払い105百万円などにより、前期末比で274百万円増加の1,844百万円となった。
経営指標を見ると、受注損失引当金の減少と収益増により、自己資本比率が前期末の49.2%から70.8%に大幅上昇した。
前述した大規模不採算案件が発生する直前期(2014年2月期末)の自己資本比率は72.6%だったため、ほぼ同水準まで回復したことになる。
財務内容は無借金経営が続いており、現金及び預金の水準も1,259百万円と2014年2月期末の水準(1,130百万円)を上回る過去最高水準に達しており、良好な状態にあると判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)