前日の米国株式市場は、前日の大幅安からの自律反発もあって主要3指数揃って小幅に上昇した。相変わらずの米中貿易摩擦への懸念を背景に、大きく反発できない状態になっている。
貿易戦争による世界経済減速懸念に揺れる市場をよそに、本日朝には、トランプ大統領がメキシコからの全輸入品に5%の追加関税を課けることを発表した。メキシコ政府による不法移民対策が不十分だとして発動し、今後の対応次第では25%まで上昇させるとのことだ。メキシコからの輸入は中国に次いで大きく、その影響は米国経済にも悪影響を与えるはずだ。
このニュースにより前場の日経平均は大きく下落し、午前11時30分時点で0.85%安の2万764円となっている。メキシコへの関税は予想外のニュースであり、これを嫌気した形だ。
午前中には日本と中国の経済指標が相次いで発表された。日本の鉱工業生産は0.6%と予想外に上昇、逆に小売売上高は0.5%と予想を下回った。中国製造業PMIは49.4へ悪化し、非製造業PMIは54.3となり前月と変わらなかった。これを受けた上海総合株価指数は0.13%高の2,909.71となっている。
米国10年債利回りは2.185%へと大きく低下し、1年債、6カ月債などとの逆イールドは継続中だ。長期金利の低下を受けてドル/円も下落し、0.35%安の109.22円となっている。
後場の日経平均は前場の流れを受け継ぎ、引き続き上値が重いだろう。中国市場の上昇や日銀のETF買いへの期待が支えとなるだろうが、本日の米国市場も下落することが想定され、腰の入った買いができる状況ではない。週末ということもあり、積極的な売買は控えられる可能性が高いだろう。
ちなみに韓国も本日いくつかの経済指標を発表している。小売売上高、鉱工業生産はともに前月より悪化した。政策金利は据え置きとなっている。ウォン安が続いているが、今朝の関税のニュースや経済指標発表を受けて、ドル/ウォンは0.11%ウォン安が進んでいる。