前日の米国市場は、火曜日深夜のパウエルFRB議長の講演による“パウエルプット”を引き続き好感し、主要3指数揃って上昇した。しかし、本日早朝にはメキシコと米国の不法移民に関する協議が決着せず、明日に順延となったことで、再び関税賦課への懸念が高まっている。
このような情勢を受け、日経平均は上昇するものの、上値が重い展開となっている。午前11時05分時点では0.25%高の2万828円だ。米国10年債利回りは2.121%と前日からほぼ横ばいで推移しており、3カ月債、6カ月債との逆イールドは継続中である。ドル/円は108.31円、上海総合株価指数は0.21%安となっている。
ドル/人民元は0.1%高、ドル/メキシコペソは0.94%高、ドル/ウォンは0.11%高とドル高傾向で推移している。
火曜日に2万300円の攻防をしていた日経平均は、パウエルプットと調整一巡感から水・木曜日で大きく上昇している。とはいえ、貿易摩擦問題はなにも解決しておらず、景気減速への懸念は高い。昨日のADP非農業部門雇用者数は驚きの減少となっており、週末の米雇用統計への懸念も高まっている。また、FRBの利下げは円高を伴う可能性が高く、企業業績の下振れとなるだけに、頭が痛いところだ。
後場の日経平均は引き続き上値が重い展開となろう。積極的に買える状況ではまだなく、上昇しても2万880円ぐらいまでではないか。さらなる上昇には、もう一段の買い材料がほしいところだ。
対メキシコ関税は米議会でも反対意見が多く、もし関税が実際に発動されたとしても、差し止める法案が議会で可決される可能性がある。大統領が拒否権を使っても共和党議員にも反対者が多いため2/3の賛成票を得られるかもしれない。対中国は簡単にいかないと思われるが、議会の情勢も踏まえて対メキシコは一転して合意の可能性もあり、トランプ大統領の決断に関心が集まっている。対メキシコが解決すれば、当面の買い材料となり、2万1000円台の回復も見えてくるだろう。