日経平均は反発。
129.46円高の20584.90円(出来高概算5億2000万株)で前場の取引を終えている。
13日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに大幅反発し、372ドル高となった。
通商代表部(USTR)が9月1日から実施予定となっている中国からの輸入品3000億ドル相当への追加関税措置について、一部製品の発動を12月に延期すると発表。
延期品目には携帯電話やノートパソコン、ゲーム機、靴などが含まれており、ハイテク株や小売株に買いが広がった。
為替相場も一時1ドル=106円台後半まで円安方向に振れ、本日の日経平均はこうした流れを好感して214円高からスタート。
寄り付き直後には20697.42円(241.98円高)まで上昇する場面があったが、円相場が下げ渋るとともに伸び悩む展開となった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の7割弱、対して値下がり銘柄は3割弱となっている。
個別では、任天堂 (T:7974)が売買代金トップで3%超の上昇。
米国による対中関税の延期品目にゲーム機が含まれ、買い材料視されたようだ。
米国でアップル株が買われた流れを引き継ぎ、村田製 (T:6981)や太陽誘電 (T:6976)といった電子部品株が大きく上昇。
安川電 (T:6506)など中国関連とされる銘柄も上げが目立った。
その他売買代金上位では、ソフトバンクG (T:9984)、東エレク (T:8035)、トヨタ自 (T:7203)などが堅調で、ファーストリテ (T:9983)やソニー (T:6758)は小幅に上昇。
また好決算の中小型株が物色を集め、Dスタンダード (T:3925)がストップ高。
次いでイーレックス (T:9517)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
一方、アドバンテス (T:6857)が利益確定売りに押され軟調で、ZOZO (T:3092)やソフトバンク (T:9434)は小安い。
決算発表のパンパシHD (T:7532)は今期見通しが市場予想を下回り、3%近く下落した。
また、業績下方修正のWSCOPE (T:6619)が急落し、やまみ (T:2820)などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、鉱業、ゴム製品、その他製品などが上昇率上位。
反面、空運業、陸運業、電気・ガス業などが下落率上位だった。
トランプ米政権が対中制裁「第4弾」の一部先送りを発表。
延期品目は携帯電話や玩具などで、年末商戦への影響を考慮したとみられている。
これに先立ち行われた米中の閣僚級電話会談についても、トランプ氏が「とても生産的だった」などと話し、米中対立への市場の懸念が和らいだ。
ただ、前日の米NYダウが300ドルを超える上昇となったのに比べると、本日の日経平均は戻りの鈍い印象だ。
今回の関税延期は短期的な企業業績の落ち込みを和らげるとしても、問題の先送りに過ぎないと捉える向きが多いようだ。
これまでの経緯から米中協議がにわかに合意へ向かうとも考えづらい。
冷静な債券市場では米長期金利の上昇が一服しており、楽観ムードが広がっていないことが窺える。
一部外資系証券の調査では、グローバルファンドマネージャーは日本株を大幅なアンダーウェート(弱気)としており、本格的な資金流入はなお遠いだろう。
日経平均の位置や東証空売り比率の推移などを見ると、短期筋の一段の買い戻しも期待しづらい状況だ。
後場の日経平均は20560円台に位置する5日移動平均線を挟んだもみ合いになるとみておきたい。
(小林大純)