日経平均は続落。
57.28円安の23352.91円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でNYダウは小幅に続落し、27ドル安となった。
翌日に発表される連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や、15日に期限を迎える対中関税発動を巡る米中協議の動向を見極めたいとの思惑が強く、もみ合う展開だった。
米中協議に関しては、「米中の担当者が15日の関税発動見送りを根回ししている」との報道が見られた一方、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が「制裁関税はまだテーブル上にある」などと述べたことが伝わっている。
為替相場が1ドル=108.70円前後と前日に比べやや円安に振れていたことから、本日の日経平均は10円高と小高くスタートしたが、米市場と同様に積極的な買いは限定的で、その後下げに転じた。
東証1部の値下がり銘柄は全体の6割強、対して値上がり銘柄は3割強となっている。
個別では、売買代金トップの任天堂 (T:7974)が4日ぶりに反落。
キーエンス (T:6861)や三菱UFJ (T:8306)などのメガバンク株も軟調で、ソニー (T:6758)やソフトバンクG (T:9984)は小安い。
一部証券会社の投資判断引き下げが観測されたピジョン (T:7956)、11月度の業績がやや物足りないと受け止められたMRO (T:3064)、決算発表で材料出尽くし感が広がったシーイーシー (T:9692)などは売りがかさんだ。
また、業績下方修正を発表したベステラ (T:1433)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、エアウォーター (T:4088)は商いを伴い3日続伸。
本日は公募株の受渡期日となっている。
東エレク (T:8035)など半導体関連株も堅調で、SUMCO (T:3436)は3%超上昇した。
トヨタ自 (T:7203)やファーストリテ (T:9983)は小幅高。
また、今期大幅増益見通しのグッドコムA (T:3475)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、海運業、銀行業、証券などが下落率上位。
半面、水産・農林業、電気・ガス業、鉄鋼など5業種が上昇した。
前場の日経平均は朝高後にマイナスへ転じ、小安い水準でもみ合う展開となった。
ここまでの東証1部売買代金は前日並みの8700億円ほどで、1日を通じても2兆円を下回るとみられる。
前日の当欄でも指摘したとおり、FOMCの結果発表や米国の対中関税発動期限、さらに12日の英総選挙や欧州中央銀行(ECB)理事会といった重要イベントが目前に迫り、市場は様子見ムードを強めている。
個別株やセクターごとの動向を見ても、持ち高調整を目的とした売買にとどまっていると考えられる。
円相場は朝方から下げ一服となっており、アジア株は総じて小動き。
前引け時点での東証株価指数(TOPIX)下落率は0.41%となっており、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施されるか判断しづらいところ。
後場の日経平均は前日同様、こう着感を強めるとみておきたい。
新興市場では日経ジャスダック平均が小幅高、マザーズ指数が反落とまちまち。
ただ、好業績株を中心に買いを集めているようだ。
また、IPO(新規株式公開)銘柄では上場2日目のALiNK (T:7077)が公開価格の約2.4倍となる初値を付けたうえ、本日上場のマクアケ (T:4479)も資金調達規模がやや大きかったにもかかわらず、公開価格を7割以上上回る初値を付けた。
IPO銘柄の組み入れは上場翌月末のため、マザーズ指数はやや上値が重いものの、個人投資家の中小型株物色はなお活発と言えるだろう。
(小林大純)