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エレマテック Research Memo(6):500億円規模に拡大した自動車関連ビジネス、需要上乗せで成長加速へ

発行済 2019-12-16 15:36
更新済 2019-12-16 15:41
© Reuters.  エレマテック Research Memo(6):500億円規模に拡大した自動車関連ビジネス、需要上乗せで成長加速へ
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■中長期の成長戦略と進捗状況2. 「自動車」への取り組みと進捗状況(1) 自動車関連ビジネスの業容エレマテック (T:2715)が自動車を次代の“成長市場”と位置付けて取り組んでいることに説明の必要はないだろう。

売上高のマーケット別内訳において、Automotiveという独立した項目が設定されていることからもそれは明らかだ。

同社が自動車領域でのビジネス拡大を志向するのは、ある意味では当然とも言える。

自動車が産業のすそ野の広い巨大市場であることがその1つだ。

自動車はエンジンや足回りといった機械的部品とインパネやライトなど電気・電装系部品(いわゆる、エレクトロニクス製品)の大きく2つの要素から成り立っているが、自動車のCASE※化の進展で、エレクトロニクス製品の需要が今後一段と増加すると予想される。

エレクトロニクス商社である同社にとっては活動領域の拡大となる。

さらに言えば同社は豊田通商グループの一員でもある。

かつてのスマートフォン市場が将来どういう変化をするか(5Gで再び活況を呈す可能性もある)に関係なく、同社にとって自動車関連ビジネスが重要分野であるという位置付けが揺らぐことはないと思われる。

※CASEはConnected(コネクティッド。

IoTを活用して自動車と他を接続すること)、Autonomous(もしくはAutomated)(自動化。

自動運転の実現など)、Shared & Service(シェアリング&サービス。

自動車の共有や、配車サービスの拡大など)、Electric(電動化。

ガソリン車からEVへのシフト)という、今後の自動車を取り巻く方向性を示す4つの言葉の頭文字を取ったもの。

同社の自動車関連ビジネスは順調な成長を遂げてきた。

2020年3月期の自動車関連売上高は約500億円と試算される。

マーケット別内訳のAutomotiveの売上高(2020年3月期予想29,725百万円)に加えて、Digital ElectronicsやBroad Marketの中にも自動車関連業界向けの製品が多数含まれるためだ。

Digital Electronicsにおいては、2020年3月期は液晶・TP・BLが自動車関連向けに大きく伸びる計画としている(ただし足元は計画よりも若干動きがスローなもよう)。

Broad Marketの中ではアフターマーケットと称されるサブセグメントの中身がドライブレコーダーやトラックのバックアイカメラなどの部材が中心となっている。

これらを積み上げると同社の自動車関連売上高が500億円に達するということだ(ただし、Broad Marketの中のドライブレコーダーは後述のBtoBtoCビジネスによる成長戦略として切り分けられているため、ダブルカウントになっている点は要注意だ)。

過去10年の同社の成長を牽引したスマートフォン関連売上高は、ピーク時には800億円~900億円に達したと推測されるが、足元ではピークの3分の1近い300億円程度にまで落ち込んだと弊社では推測している。

主役が完全に入れ替わった形だ。

中長期的には自動車関連売上高が過去のスマートフォン関連のピーク売上高を抜く可能性は十分あると弊社では考えている。

(2) 自動車関連ビジネスの戦略と最近の状況前述のように自動車業界ではCASE化の流れにあり、それは自動車業界においてエレクトロニクス製品の需要が一段と増大することを意味する。

同社は代表的電子材料である絶縁材料の取扱いから始まったエレクトロニクス商社であり、こうした流れはまさに商機拡大のチャンス到来と言える。

自動車関連ビジネスの一段の拡大を目指すに当たり、同社の強みを整理すると、モジュール品の提案力がまず挙げられる。

前述のように、同社は高付加価値化を成長戦略の核に据えており、その具体的アクションの1つが企画、設計、組立・加工といったプロセスを同社自身が担い、モジュール品や半製品(場合によっては完成品)といった形で納入することだ。

これらは既に部分的に行っているが、自動車関連ビジネスにおいてはこのニーズがさらに高まると考えられ、同社にとっては本領発揮のチャンスと言える。

強みの2つ目としては豊田通商グループとのシナジーが挙げられる。

現時点の同社の自動車関連売上高は、同社が長年にわたり積み重ねてきた多数の商材で構成されている。

同社は2012年に豊田通商のグループ入りをしたため、そのシナジーの一環で、トヨタグループ向けの大口納入などを期待する向きも多いが、それらが実現するのはこれからとなる見通しだ。

このことに関しては“シナジー効果発現の遅れ”と嘆く必要はなく、同社が本来有する強み(商材と取引先における多様性)が自動車業界向けにも発揮されていることを評価すべきと弊社では考えている。

豊田通商グループとのシナジーはこの上にオンされる、言わば“プラスアルファ”の存在と弊社では位置付けている。

具体的な取扱商材としては、ヒーター、バッテリー、トラクションモーター、ヘッドアップディスプレイに関連する部材など多岐にわたっている。

これらの中では、現状はヒーターの売上構成比が大きく、事業の大きなベースを形成しているもようだ。

今後はコックピットモジュールなどCASE化で拡大するエレクトロニクス製品の需要を取り込み業容の拡大を図る方針だ。

その過程では、液晶・TP・BLといった商材の規模が再び拡大する可能性(最終需要先がかつてはスマートフォンだったものが、自動車のインパネ(運転席周りの表示装置)周辺に液晶パネルが多用されてくるとの見方がある)があり、こうした需要先の乗り替わりの変化などは要注目点と言える。

2020年3月期第2四半期はマーケット別の中のAutomotiveの売上高は前年同期比1.9%増と微増だったが通期ベースでは同11.0%増と2ケタ成長が計画されている。

詳細は明らかにされていないが製品のすそ野は着実に拡大しつつあるほか、モジュール化や加工済み品としての納入も順調に拡大しつつあるとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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