[17日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバル・レーティングとフィッチは、英国を格下げする可能性が大きいとの見方を取り下げた。前週の総選挙でジョンソン英首相が圧勝し、来年1月に合意なき欧州連合(EU)離脱を強行するリスクが低下したとの理由を挙げた。
S&Pは英国の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ、フィッチは同国を格下げ方向で見直す「ウォッチ・ネガティブ」指定から解除した一方、格付け見通しは「ネガティブ」に維持した。
12日投開票の英総選挙では、ジョンソン首相率いる与党・保守党が単独過半数を獲得し、地滑り的勝利を収めた。この結果、来年1月末にEU離脱が実現する見通しとなった。
ジョンソン氏はまた、EU離脱後の移行期間について、2020年末の期限の延長を阻止する法案の成立を目指している。
移行期間中は現状の英・EU関係が維持されるが、将来の通商関係について合意をまとめるには余りにも期間が短く、時間切れとなれば関税など貿易障壁が高くなる恐れがあると市場関係者は指摘する。
S&Pは、英政府が時間的猶予を求めることで、来年末に合意なき離脱と変わらない状況に陥るリスクは回避されると予想。
「英政府の現在のスタンスにかかわらず、将来の関係を巡る交渉を続けるために英国が20年12月からの期限延長を求め、EUがそれを認めると見込む」とした。
フィッチは英国が来年末に「崖っぷち」に立たされるリスクは消えていないと指摘。
S&Pは英国に「AA」の長期格付けを付与。フィッチも「AA」の格付けを据え置いた。
ムーディーズは11月、英国の「Aa2」格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。