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イランの米軍基地空爆に金融市場が動揺:識者はこうみる

発行済 2020-01-08 12:21
© Reuters. Stock prices are reflected on a window as an attendant waits for a ceremony marking the end of trading in 2019 at the Tokyo Stock Exchange in Tokyo

[東京 8日 ロイター] - イランによるイラク領内の米軍基地空爆に、金融市場は大きく反応している。日経平均は大幅に下落、比較的安全とされる通貨の円は全面高となっている。金融の専門家の見方は以下の通り。

<CMCマーケッツ(シドニー)のアジア太平洋地域・カナダ担当セールス責任者、アシュリー・グローバー氏>

いま起きているのは大きなリスクオフの動きだ。金、原油、VIX(恐怖)指数が急伸し、株価は急落している。

われわれは米国が報復するかどうかを注視しており、トランプ米大統領が何かコメントするまで、市場には様子見姿勢が広がるだろう。

その結果として、米先物が安値から戻している。長期投資家が好む「押し目買い」の心理が働き始めているようだ。

<ゲイン・キャピタル(シンガポール)のマーケットアナリスト、マット・シンプソン氏>

金が1600ドルを突破し、そのまま推移していることにセンチメントが表れている。

今回の攻撃で米国側の犠牲者が確認された場合、金相場はさらに上昇する可能性がある。

犠牲者が出れば、トランプ米大統領はただ静観しているとは思わない。第3次世界大戦の話もある。私はまだその段階ではないと思うが、第2次イラク戦争のようには見える。

<ING(シンガポール)のアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、ロブ・カーネル氏>

市場は典型的なリスクオフだ。これはソレイマニ司令官殺害を受けたイラン側の報復だ。今後の米側の対応が注目される。事態はエスカレートするとみられる。

米国は強硬な手段を講じると考えられ、その場合、米国債はさらに上昇するだろう。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 荒井誠治氏>

今晩の欧米市場の動きによって、あすのマーケットの動きも変わってくるが、現在進行形できな臭い話が出ている以上、いったんリスク回避の動きを取らざるを得ない。昨年来、日本株も上昇してきており、利益確定売りも出やすい。加えて、今週はSQが算出されるため、海外投資家による先物の売買が増加していた。仕掛け的な売買が振れ幅を増幅している部分もありそうだ。

大規模な軍事衝突に発展すれば実体経済への影響は免れないものの、仮に中東地域にとどまるようであれば、米国企業や日本企業の業績が悪化するようなことにはならないだろう。

鍵を握るのが原油価格。上昇し続けるのであれば、ガソリン代や電気代が上がることで消費にダメージが出たり、企業の生産コストが圧迫されたりして、株式市場にも影響が出る。しかし、米国はシェールオイルの生産により世界的な産油国になっており、以前に比べて原油価格における中東の存在感も低下してきている。原油価格の上昇が限定的であれば、この下落は結果的に「振り返れば絶好の買い場だった」という判断になる可能性が高い。

<みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト ⼭本雅⽂氏>

昨年12月に米軍が駐留するイラク北部の基地が攻撃を受けて以後、金融市場では原油価格が上昇、米金利が低下する中で円高が進行した。ドルは109円台半ばから107円台まで売られた。

ただ、18年5月にトランプ米大統領がイラン核合意から離脱すると表明した後、サウジの石油施設攻撃など原油高につながった主な出来事の発生時の市場反応を検証すると、円は必ずしも上昇していない。

これらの局面で上昇する傾向が強かったのは、金とスイスフラン、産油国通貨であるカナダドル、ノルウェークローネなど。事象発生時の円の変化率は複数回の中央値を取るとマイナス、つまり円安だった。米国市場で株価や金利が上昇するなど、全面的なリスクオフには至らなかったことがあったためだと考えられる。

短期的なリターンを追求する投資家には、米イラン関係が悪化し原油価格が上昇する局面では、円より金やカナダドルなどの買いポジションを保有ないし増加させる方が、得策となる。こうした動きが広がれば、両国関係がさらに悪化しても、円高圧力が強まりにくくなる可能性がある。

<バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ金利ストラテジスト 大崎秀一氏>

原油価格の上昇が債券市場に与える影響は複雑だ。景気にはネガティブだが、インフレ懸念につながる。一方、円高が進めば、国内での価格上昇は抑制される。ただ、足元では、中東情勢の材料はリスクオフ材料として受け止められやすく、しばらくは低金利環境が続くだろう。

© Reuters. Stock prices are reflected on a window as an attendant waits for a ceremony marking the end of trading in 2019 at the Tokyo Stock Exchange in Tokyo

とはいえ、直近は金利カーブのフラットニングが続いていただけに、ここから大きく金利が低下するには海外勢の円債買い回復などが必要になってくるかもしれない。

あすの30年債入札については、リスクオフ環境ではあるものの、金利水準が低くなってきたことで、不安も出てきた。期末であれば生保などが必要な額を買い入れるといった需要があるが、まだ1月であり、3月まで待つ余裕もある。20年債との対比などでカーブプレーヤーの買いは期待できるが、長期投資家は慎重になる可能性もある。

*内容を追加しました。

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