[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米国の投資適格級社債と高利回り社債が4日、投資家のリスク選好の回復を受けて上昇した。ただ、新型コロナウイルスの影響が特に大きいセクターなどに対しては警戒感も根強い。
市場ではこのところは「質への逃避」が広がっていたが、4日は米下院で総額83億ドルの新型ウイルス対策予算案が可決され、米連邦準備理事会(FRB)による前日の緊急利下げもあり、投資家心理が改善した。米大統領選に向けた民主党候補指名争いのヤマ場となる「スーパーチューズデー」で中道派のバイデン前副大統領が躍進したことも買い安心感につながった。
投資適格級社債の主要上場投資信託(ETF)である「iシェアーズiBoxx投資適格級社債ETF」 (P:LQD)と「PIMCO投資適格級社債ETF」 (K:CORP)は4日午前の取引で最高値を更新した。
高利回り債市場でも、「iシェアーズiBoxxハイイールド社債ETF」 (P:HYG)と「SPDRブルームバーグ・バークレイズ・ハイイールド社債ETF」 (P:JNK)がともに約1.3%上昇した。
ナットアライアンス・セキュリティーズのアンドリュー・ブレナー氏は「株価が上昇しているほか、FRBがより長期にわたって低金利を維持する姿勢や協調対応の可能性を示したことを踏まえると、高利回り債に買いが入るだろう」と述べた。
ただ、格下げの恐れのある企業や、新型ウイルスの影響が特に大きいセクターの信用見通しに関しては悲観的な見方も出ている。
米社債は記録的高値水準にあるが、ジャンク級の1段階上に当たる「トリプルB」格付けの社債も記録的な規模に膨らんでいる。中国で今年起きたような突然のショックに見舞われた場合、キャッシュフローが打撃を受け、格下げのリスクが高まる。
アリアンツの首席経済顧問、モハメド・エラリアン氏は3日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)で「結果的に、米社債市場の複数部門でテクニカルな状況が悪化している時に信用の質が低下する」と指摘した。
格付け会社S&Pグローバルは3日に公表したリポートで、影響を受けやすいセクターとして自動車、航空、エネルギーを挙げた。
フィッチ・レーティングスのアナリストは「新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が深刻になった場合、ゲームや外食、娯楽、ホテル部門でキャッシュフローが著しく低下する」との見方を示した。