日経平均は小幅続落。
18.99円安の19326.78円(出来高概算6億4000万株)で前場の取引を終えている。
9日の米株式市場でNYダウは続伸し、285ドル高となった。
連邦準備制度理事会(FRB)が追加支援策を導入し、中小企業、州・地方自治体支援などで最大2.3兆ドルの融資を提供すると発表。
パウエル議長が融資可能な規模は「無制限」と述べたこともあり、好感した買いが先行した。
また、東京市場ではオプション4月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買が買い越しだったこともあり、本日の日経平均は154円高からスタート。
ただ、寄り付きを高値にマイナスへ転じ、小安い水準でもみ合う場面が多かった。
国内で新型コロナウイルスの感染者の増加が続くなか、週末とあって目先の利益を確定する売りが出た。
なお、オプション4月物のSQ値は概算で19577.48円となっている。
個別では、OLC (T:4661)が2%超下落したほか、東エレク (T:8035)、ソニー (T:6758)、トヨタ自 (T:7203)などが軟調。
前日に決算発表した小売大手では7&iHD (T:3382)やローソン (T:2651)、良品計画 (T:7453)が売りに押された。
串カツ田中 (T:3547)や鳥貴族 (T:3193)といった外食株も下げが目立ち、ペッパー (T:3053)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、決算が評価されたファーストリテ (T:9983)、米金融株高の流れを引き継いだ三菱UFJ (T:8306)や三井住友 (T:8316)は揃って3%超の上昇。
富士フイルム (T:4901)は2%超上昇し、ソフトバンクG (T:9984)もしっかり。
中小型株では好決算が散見され、C&R社 (T:4763)が東証1部上昇率トップとなり、SHIFT (T:3697)はストップ高水準で前場を折り返した。
セクターでは、鉱業、空運業、ゴム製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。
半面、銀行業、電気・ガス業、医薬品など4業種が上昇した。
東証1部の値下がり銘柄は全体の66%、対して値上がり銘柄は31%となっている。
日経平均は寄り付きで3月25日以来、およそ2週間ぶりに19500円台を回復したものの、これを高値に伸び悩む展開となった。
個別株やセクターごとの動向を見ると、原油相場の下落を受けて関連セクターが軟調なほか、新型コロナの影響が懸念される業種を中心に売りが出ている印象。
反面、FRBの追加支援策が安心感につながった銀行株に加え、新型コロナの影響が相対的に小さいとみられる内需・ディフェンシブ関連の一角が上昇している。
これらは一昨日の当欄でも触れたとおり、週半ばまでの動きの「リターン・リバーサル」的な流れだろう。
ここまでの東証1部売買代金は1兆円をやや上回る程度で、オプションSQだったことを踏まえるとかなり少ないと言える。
日経平均の日足チャートを見ると、19100円台に位置する5日移動平均線が下支えとなっている。
日経平均はファーストリテが押し上げ要因として大きいため、東証株価指数(TOPIX)の方はというと前引けで-0.53%と軟調。
このため、後場は薄商いのなか日銀による上場投資信託(ETF)買い観測も出てきそうだ。
一方、このところ欧米株高を背景に海外投資家から株価指数先物の買い戻しが断続的に入っていたが、本日は聖金曜日の祝日で海外主要市場が休場となるため期待しにくい。
上に付けた「幻のSQ」値が当面の壁として意識される可能性もある。
米国では企業の資金繰り不安が一段と後退し、金融株やファーストリテの値動きも心強い。
しかし、小売大手の決算全般としては新型コロナの影響による先行き不透明感が意識される内容となっている。
注目される原油相場を巡っては、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成するOPECプラスが減産で合意できず会合を終了した。
サウジアラビアとロシアが合意したものの、メキシコが参加を拒否したという。
産油国の財政不安は今後もくすぶることになるだろう。
東京都では9日、新たに181人の新型コロナ感染者が確認された。
連日で1日当たり最多を更新しており、感染拡大ペースは鈍化していない。
これらを考慮すると積極的な売買は手掛けづらく、後場の日経平均は一段とこう着感を強めそうだ。
(小林大純)