日経平均は反落。
122.17円安の19661.05円(出来高概算5億5000万株)で前場の取引を終えている。
週明け27日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、358ドル高となった。
新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化し、米国や欧州の一部で経済活動が再開されたことが好感された。
日銀が予想どおり追加の金融緩和に踏み切り、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模緩和策が維持されるとの見方なども支援材料となった。
ただ、東京市場ではこうした動きを前日にある程度織り込んでおり、本日の日経平均は7円安からスタート。
その後は時間外取引のNYダウ先物や朝方の中国・上海総合指数の下落が重しとなり、日経平均も前場中ごろを過ぎて19638.48円(144.74円安)まで下落する場面があった。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)、任天堂 (T:7974)、武田薬 (T:4502)、ファナック (T:6954)などがさえない。
花王 (T:4452)は決算内容がポジティブサプライズに乏しいと受け止められ、4%超の下落となった。
決算を嫌気した売りが続く第一三共 (T:4568)、投資判断引き下げの動きが複数観測されたローソン (T:2651)も軟調ぶりが目立つ。
また、正興電 (T:6653)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、新型コロナのワクチン開発を発表した塩野義 (T:4507)が3%超の上昇。
決算発表銘柄ではイビデン (T:4062)が商いを伴って急伸し、ルネサス (T:6723)も大きく買われた。
ファーストリテ (T:9983)やトヨタ自 (T:7203)は小幅に上昇。
また、イビデンとともにPLANT (T:7646)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、鉄鋼、鉱業、非鉄金属が下落率上位。
半面、空運業、ゴム製品、精密機器などが上昇率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の63%、対して値上がり銘柄は32%となっている。
日経平均は前日に500円超上昇した反動もあり、本日一転して売りに押される展開となっている。
前日の米株高はある程度織り込み済みであり、時間外取引の米株先物や朝方の上海株の下落が重し。
売買代金上位を見ると全般に利益確定売り優勢だが、景気敏感株の一角が小幅に上昇し、決算が好感された銘柄には買いが向かっている印象だ。
業種別では原油安に伴い商品関連セクターの下げが目立ち、内需・ディフェンシブセクターも軟調。
ただ、出遅れ感の強い景気敏感・バリュー(割安)系セクターの一角がまずまずしっかり。
ここまでの東証1部売買代金は9000億円強と引き続きやや低調で、新興市場ではマザーズ指数が直近戻り高値水準を維持しつつも小安い。
前引けでの東証株価指数(TOPIX)の下落率は0.53%となっており、後場は日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施されそうだ。
上海株も足元下げ止まりつつあるが、日経平均は後場も米中を中心とした海外市場の動向を睨み神経質な展開となる可能性がある。
先週24日の当欄で「企業決算は強弱まちまち、株価指数はもみ合いで個別物色へ」との見通しを述べた。
日経平均の日足チャートを見ると、19400円台に位置する5日移動平均線を上回りまずまずしっかりだが、4月17日の取引時間中に付けた戻り高値19922.07円を未だ上抜けできていない。
ここまでの動きは前述の見方に沿ったものと言ってよいだろう。
欧米で経済活動再開の動きが広がり、NYダウは20日と22日の2日間で計1200ドル超下落した後は値を戻している。
米株の変動性指数(VIX)も再び低下傾向にあり、こうした外部環境の改善が日本株にとっても支援材料となっている。
国内においても東京都の新型コロナ新規感染者数が27日、39人とおよそ1カ月ぶりに50人未満となった。
ただ、明日は昭和の日の祝日で休場、さらに週末からは5連休が控えている。
連休最後の5月6日には緊急事態宣言の期限を迎え、解除・延長の判断が示されることもあり、積極的な買いは手掛けづらいところだろう。
また、足元で主要企業の決算発表が進んでいるが、既にこれまで新型コロナの好悪影響を織り込んできたため、発表直後は材料出付くし的な動きが強く出ている印象がある。
需要・供給の両面で悪影響を受けている外需系企業では、想定ほど業績悪化しなかったことが素直に好感されている。
しかし、花王のようにここまで日経平均の上昇をけん引してきた内需系、あるいは半導体関連のグロース(成長)株では、堅調な決算でも好材料出尽くしとして売られるケースが見られる。
このことを考慮しても、株価指数が一方向に傾く展開は想定しづらい。
短期的に出遅れている景気敏感・バリュー系銘柄のリバーサル(株価反転)妙味が強まっていることを付け足すが、従来の見方に変更はない。
(小林大純)