日経平均は小幅に4日ぶり反落。
41.45円安の20349.21円(出来高概算6億2000万株)で前場の取引を終えている。
週明け11日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、109ドル安となった。
国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長をはじめ、政府の新型コロナウイルス対策チームの専門家らが自主隔離に入り、政権内での感染リスク上昇への警戒感から売りが先行。
ただ、ニューヨーク州のクオモ知事が今週中にも一部で経済活動を再開する意向を示すと下げ幅を縮小した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は6日続伸。
本日の日経平均はこうした流れを引き継いで22円高からスタートすると、前日終値を挟みもみ合う展開となった。
前場の高値は10時35分に付けた20438.14円(47.48円高)、安値は9時34分に付けた20293.97円(96.69円安)となっている。
個別では、ファーストリテ (T:9983)、トヨタ自 (T:7203)、三菱UFJ (T:8306)などのメガバンク株がさえない。
前日にストップ高比例配分となったみらかHD (T:4544)だが、本日は一転売り優勢。
決算発表銘柄ではブリヂス (T:5108)などが大きく売られ、丸和運輸や三越伊勢丹 (T:3099)が東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、任天堂 (T:7974)が3%近く上昇したほか、ソフトバンクG (T:9984)やソニー (T:6758)が小しっかり。
米半導体株高の流れを引き継いでSUMCO (T:3436)などの堅調ぶりが目立つ。
決算発表銘柄ではアイフル (T:8515)が商いを伴って急伸し、タツモ (T:6266)は東証1部上昇率トップ。
エフオン (T:9514)はストップ高水準で前場を折り返した。
セクターでは、海運業、ゴム製品、空運業が下落率上位。
半面、電気・ガス業、その他製品、情報・通信業などが上昇率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の59%、対して値上がり銘柄は37%となっている。
前日の米国株が高安まちまちだったこともあり、本日の日経平均は前日終値を挟みもみ合い、方向感に乏しい展開となっている。
日足チャート上では20040円近辺に位置する5日移動平均線と20730円近辺に位置する75日移動平均線に挟まれ、ややこう着感を強めている印象。
売買代金上位では半導体関連や内需系のグロース(成長)株が堅調で、時価総額上位の自動車株や銀行株は軟調。
前日の上昇が急だった空運株も反落している。
業種別騰落率を見ても海運業などの景気敏感系バリュー(割安)株の上げが一服し、内需・ディフェンシブセクターなどに資金が向かっている。
ここまでの東証1部売買代金は1兆円程度。
新興市場ではマザーズ指数が続伸しており、中小型株の循環物色は続いているようだ。
新型コロナの感染ペース鈍化に伴う経済活動の再開期待は後退しておらず、「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)もなお低下傾向にある。
ただ、国内外の市場関係者からは、現在の株価水準は経済再開の期待を織り込んだ水準であるとの見方や、拙速な活動再開による感染第二派の到来リスクを指摘する声などが出始めた。
日経平均は前日の取引時間中、当面の上値めどの1つとされていた20500円に到達し、こうしたリスク要因に改めて関心が向かいやすいタイミングでもあるだろう。
景気敏感系バリュー株のリバーサル(株価の反転上昇)が一服し、コロナ禍でも相対的に堅調な業績が見込めるセクター・銘柄が改めて買われているのは日米とも同じだ。
今週は14日に政府による緊急事態宣言の見直しが予定されているほか、海外でも15日に米中で4月の小売売上高や鉱工業生産といった経済指標の発表が控えている。
これまで期待を先取りしてきただけに、これらの結果や内容、その後の市場反応を見極めたいとの思惑も徐々に出てくるだろう。
こうしたなか、本日後場にはトヨタ自の決算発表があり、日本企業全体の業績動向を探るうえでも注目されそうだ。
決算発表は13時10分で、13時15分からは決算説明会が開催される。
市場予想のコンセンサスは営業利益で2020年3月期2兆4800億円、21年3月期が1兆8800億円程度となっている。
なお、今週は決算発表のピークでもあり、本日はトヨタ自のほか資生堂 (T:4911)やダイキン (T:6367)、ホンダ (T:7267)が発表を予定している。
(小林大純)