[23日 ロイター] - オーストラリアのカジノ運営大手、スター・エンターテインメント・グループは23日、国内同業のクラウン・リゾーツに対する90億豪ドル(66億米ドル)の買収提案を取り下げた。クラウンは当局の調査対象となっており、営業免許を失う可能性が出ていた。
クラウンは今年2月の調査で、同社のカジノが何年もマネーロンダリング(資金洗浄)の場になっていたことが分かり、シドニーにできたばかりのカジノを開業するには不適格と判定された。その後の調査で今週、是正の取り組みが不十分だとして、利益の約4分3を稼ぎ出すメルボルンのカジノの営業免許はく奪が相当との判断が出た。
スターは、クラウンとの提携は検討する可能性があるとしたが、「メルボルンのカジノ営業免許を保持できるかどうかや、保持する条件」といった、調査が会社価値に及ぼす影響を懸念していると述べた。
クラウンは声明で、スターと話し合いを続ける意向を示しつつ、他から提案があれば検討する方針を示した。
クラウンに対しては、米プライベートエクイティ(PE)のブラックストーン・グループが買収を提案していたが、クラウンは5月に拒否した。米投資会社オークツリー・キャピタルは、クラウンのジェームズ・パッカー氏の保有する37%分の株式を30億豪ドルで買い取る提案をしている。これが実現すれば、パッカー氏が取締役会や意思決定に及ぼす影響力を巡る当局懸念が解消される。