トーソー<5956>(東2、新市場区分スタンダード)はカーテンレール類やインテリアブラインド類の大手である。中期成長戦略は「窓辺の総合インテリアメーカー」として高付加価値製品拡販などを推進している。22年3月期はコロナ禍による不透明感や世界的な原材料価格高騰などを考慮して減益予想としている。第3四半期累計は原材料価格高騰も影響して減益だった。ただし利益進捗率は順調であり、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。株価は小幅レンジでモミ合う展開が続いているが煮詰まり感を強めている。低PER・PBRも評価材料であり、モミ合いから上放れの展開を期待したい。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。カーテンレール類やインテリアブラインド類の大手で、国内市場シェアは、カーテンレール類(国内市場規模約220億円)が約50%、ブラインド類(同約670億円)が約15%である。
ローマンシェード「クリエティ ループレス」はループ状の操作チェーンやコードがなく、優れたデザイン性も併せ持つ安心安全のチャイルドセーフティ製品である。21年9月には第15回キッズデザイン賞(主催:キッズデザイン協議会)において奨励賞およびキッズデザイン協議会会長賞を受賞、21年10月には2021年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)を受賞した。
21年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が99%、その他が1%、営業利益構成比は室内装飾関連事業が99%、その他が1%だった。室内装飾関連事業の商品別売上構成比はカーテンレール類43%、ブラインド類46%、間仕切類・他11%だった。
販路別売上構成比はインテリア専門店・工事店が72%、ホームセンターなどの大型小売業が14%、海外販売が2%、その他(メーカーへの資材販売など)が12%だった。
生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。なお100%子会社のトーソー流通サービスを21年4月1日付で吸収合併した。経営効率化を推進する。
収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。
■高付加価値製品拡販などを推進
2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値(新型コロナウイルスの影響を勘案して最終年度を26年度に変更)に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値製品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新製品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を推進している。
そして第2フェーズ(20年度~23年度)目標値を23年度売上高240億円、ROE6%以上としている。住宅分野の停滞を補うため、高収益体質への転換に向けた取り組みとあわせて、一層の成長戦略(非住宅分野、用途開発、海外事業、新規領域)を推進する方針だ。
■22年3月期3Q累計減益だが通期利益予想に対する進捗率順調
22年3月期連結業績予想(収益認識会計基準適用で前期比増減率は非記載、損益への影響は軽微)は、売上高が217億円、営業利益が7億20百万円、経常利益が7億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が4億70百万円としている。収益認識基準適用前の21年3月期実績との単純比較で見ると売上高は1.3%増収、営業利益は34.4%減益、経常利益は36.0%減益、当期純利益は37.3%減益となる。配当予想は21年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比1.6%減の152億88百万円、営業利益が23.6%減の5億82百万円、経常利益が21.5%減の6億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.0%減の3億91百万円だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が27百万円減少、販管費が18百万円減少、営業利益が9百万円減少している。経常利益、税金等調整前四半期純利益への影響はなかった。
住宅分野や海外販売で持ち直しの動きが見られたが、コロナ禍の影響などで宿泊施設を中心に非住宅分野の需要が減少し、原材料価格高騰も影響して減益だった。セグメント別に見ると、室内装飾関連事業は売上高が2.2%減の149億89百万円で営業利益が25.7%減の5億65百万円だった。非住宅分野を中心に売上が伸び悩み、営業費用の増加も影響した。その他は売上高が34.6%増の2億98百万円で営業利益が16百万円(前年同期は0百万円)だった。販売活動強化で増収だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が48億44百万円で営業利益が90百万円、第2四半期は売上高が51億03百万円で営業利益が1億45百万円、第3四半期は売上高が53億41百万円で営業利益が3億47百万円だった。
通期予想は据え置いている。コロナ禍による不透明感などを考慮して減益予想としているが、第3四半期累計の進捗率は売上高が70.5%、営業利益が80.8%、経常利益が84.5%、親会社株主帰属当期純利益が83.2%となり、利益進捗率が順調だった。通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として実施している。なお20年3月31日基準から、保有株式数および継続保有期間に応じた優待内容に変更(詳細は会社HP参照)した。
■株価は煮詰まり感
株価は小幅レンジでのモミ合い展開が続いているが煮詰まり感を強めている。低PBRも評価材料であり、モミ合いから上放れの展開を期待したい。2月17日の終値は527円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円67銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1411円12銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約53億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)