[北京 29日 ロイター] - 中国共産党の最高意思決定機関、党中央政治局は29日、昨年規制を強化したインターネット・プラットフォーム分野を含む経済を支援する措置を講じると表明した。国内の新型コロナウイルス感染拡大やウクライナでの戦争を受けて経済へのリスクが高まっている。
中央政治局は29日、習近平国家主席主宰で会議を開催した。中国中央政府のウェブサイトに掲載された声明は、コロナ禍で打撃を受けている業界や中小企業を支援し、インフラ事業を加速、輸送・物流、サプライチェーン(供給網)の安定化を図るとし、「マクロ経済政策の調整を強化して経済を安定化し、年間の経済・社会発展目標の達成へ努力する」と述べた。
政治局は「新型コロナとウクライナ危機がリスクや課題の増大につながった。中国の経済発展環境の複雑さや厳しさ、不確実性は強まった」と指摘。
「成長や雇用、物価の安定化は新たな課題に直面している。経済運営をうまく行い、人々の生活を効果的に守り改善することが非常に重要」との認識を示した。
ただ、経済への影響を最小限に抑えつつ、感染拡大を抑制する「ダイナミック・ゼロコロナ」政策は維持するとした。
その上で「政策導入を加速し、税還付や税・手数料引き下げなどを実施するとともに、あらゆる種類の金融政策手段を活用すべき」とした。
システミックリスクを警戒しながら、不動産市場の健全な発展を支援し、資本市場が安定的に機能するよう取り組む考えも示した。
「プラットフォーム経済の健全な発展を推進し、特別な調整を完了し、正常化された監督を実施し、プラットフォーム経済の標準化された健全な発展を支援する措置を導入すべき」と述べた。
<市場は好感>
政治局の方針が報道されると、中国株式市場は上昇。特に昨年、当局の締め付けを受けたインターネット関連株は「プラットフォーム経済の健全な発展を推進」という見解が示されたことで最悪局面は過ぎたという期待が台頭し、大きく上昇した。
当局が来月、大手インターネット企業との会合を持つとの情報もある。
アナリストは今年の成長目標達成にはさらなる景気支援措置や不動産規制の緩和が必要と指摘する。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は「メッセージは前向きだが、具体的な政策や実行が鍵だ。第2・四半期は(前年比で)マイナス成長になるとみられる。経済を好転させるにはマクロ政策の大幅な変更が必要だ」と述べた。
野村の首席中国エコノミスト、陸挺氏は、第2・四半期がプラス1.8%成長で22年は3.9%との予想を維持すると述べた。
ANZはノートで「指導部は政策措置の前倒しや支援の拡大を主張した。これは、秋の党大会を控え安定した経済・政治環境を確保するという当社の見解を確認するものだ」と述べた。