[香港/ロンドン 27日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングス傘下のHSBCアセット・マネジメント幹部が今月、気候変動問題の金融リスクを軽視する発言をしたことで、少なくとも大手機関投資家1社がHSBCとの契約を見直すべきか検討中だ。ある消息筋がロイターに明らかにした。
幹部はHSBCアセットの責任投資責任者スチュアート・カーク氏。ロンドンでの会議で「気候変動はわれわれが心配する必要のある金融リスクではない」と発言し、金融界に気候変動問題での役割強化を働きかけてきた団体などから批判が噴出。英年金当局も、気候変動の影響を軽視する年金基金運用は「積み立てられてきた年金に及ぼす重大なリスクを無視していることになる」と警告した。
HSBCはカーク氏を停職させ、社内調査に入っている。同行のクイン最高経営責任者(CEO)がカーク氏の発言は銀行の戦略とは相容れず、経営陣の見解を反映したものでもないと弁明するなど、上層部も釈明に追われている。
消息筋によると、運用資産1000億ドルを超える機関投資家が、同社の持続可能性ファンドの運用を今後もHSBCアセットに手伝わせるべきかについて、コンサルタント会社から意見を求める計画という。
別の2人の消息筋によると、HSBCの従業員らも最近の行内の対話集会で、同行が顧客からどう見られているかが懸念されるため、社の方針を改めて明確にするよう求める声が上がった。
HSBCアセットにはカーク氏の発言に関する問い合わせが複数の機関投資家から多数寄せられているという。