[ニューヨーク 13日 ロイター] - 13日の米株式市場でS&P総合500種が3.9%安となり、1月3日の過去最高値からの下落率が21.8%に達したため、2020年3月以来の弱気相場入りが数字上から確認された。専門家の間では、直近高値から少なくとも20%下がると弱気相場に突入したと定義されている。物価高騰や米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢、景気の先行きを巡る懸念が地合い悪化につながった。
過去の値動きが参考になるとすれば、弱気相場の下で投資家には今以上の痛みが待っている。CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏の分析に基づくと、1946年以降の弱気相場局面は13回あって、平均下落率は32.7%、2007─09年の金融危機時には57%近くも急落している。
CFRAによると、株価が底を打つまでにかかる期間は平均で1年余り、その後以前の高値を回復するまでさらに平均で約2年も必要になる。もっとも高値に戻るまでの期間は13回の弱気相場それぞれでかなり異なり、早ければ3カ月、遅いと69カ月だった。
S&P総合500種は、新型コロナウイルスのパンデミックが本格化した20年3月に記録した安値から最高値までおよそ114%上昇した形だ。しかし今年に入ってFRBがインフレ抑制のためにタカ派姿勢を強め、積極的な引き締めに乗り出す姿勢を示すと、株価は下げ方向に転じた。
FRBのパウエル議長は、物価を落ち着かせるために必要な水準まで金利を引き上げると約束すると同時に、米経済をソフトランディング(軟着陸)させられると政策担当者は信じていると発言した。ただロシアのウクライナ侵攻で原油や他のコモディティー価格が大幅に押し上げられたこともあり、ボラティリティーは増大している。
S&P総合500種は先月、一時弱気相場確定寸前まで下落した後でやや持ち直した。FRBが今年後半には利上げペースを緩められるのではないかとの期待が市場に生じたためだ。
しかし先週の米国株は週間ベースで1月以降最大の下げとなり、5月米消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が約40年半ぶりの伸びになったと発表された10日に逆風が最も強まった。
セクター別に見ると、幾つかしっかりした分野はある。例えばエネルギー株は今年になって原油価格につれて大きく値上がりして、公益などいわゆるディフェンシブ銘柄は市場全般より底堅い。
一方下げが一番きついのはハイテクをはじめとする成長株。これらは過去10年にわたる強気相場の大半の期間で高騰してきたが、特に金利上昇に弱い。時価総額が大きいテスラやメタ・プラットフォームズはS&P総合500種におけるウエートも高い。
株価がいつ上向くかを判断するため、投資家はボラティリティー・インデックス(VIX)などさまざまな指標に目を向けている。VIXは長期的な中央値に比べると高水準だが、依然として過去の大幅安局面でつけたピークには達していない。
*動画を付けて再送します。