ワキタ<8125>(東証プライム)は6月15日、2円(0.17%高)の1152円と続伸。高値1160円と買われ、8日につけた年初来高値1159円を更新した。中期経営計画の財務・資本戦略が評価されており、7月8日に発表が予定される今2023年2月期第1四半期決算に対する期待が高まっているようだ。
■配当と自己株式購入を含めた総還元性向100%へ
今23年2月期売上高790億円(前期比5.3%増)、営業利益60億円(同9.0%増)の微増益予想で、年間配当は35円(同2円増)の増配予定だが、4月8日に公表した「2025 中期経営計画」(2023年2月期~25年2月期)では、「第二の創業」を目指して、安定から成長へと標榜している。25年2月期売上高925億円(22年2月期実績749億円)、営業利益80億円(同55億円)、EBITDA140億円(同116億円)、ROE5.0%(同3.7%)の数値目標を掲げているが、市場では、財務・資本戦略(成長投資と株主還元の両立)を評価しているようだ。
同社は、株主に対して利益還元を重要な経営課題と認識し、安定した配当を継続することを基本方針としているが、株主とのエンゲージメントを高めることを目的に23年2月期以降25年2月期までの3か年において毎年、配当と自己株式購入を含めた総還元性向を100%とし、株主還元の強化を図る一方で、これまで蓄積した資本を活用して、成長のために積極的なM&A投資(予算150億円)、建機レンタル拠点のネットワーク拡充(目標年間5店舗)、人的資本への投資(人員増強、人材成長支援)、環境対応型建設機械への投資、介護事業拡充のための投資を行う計画で、旧村上ファンド系のストラテジックキャピタルの株主提案を意識した内容と受け止められる。
■旧村上ファンド系のストラテジックキャピタルの動向に注目
同キャピタルは、ワキタ株式を339万1200株(6.52%)保有し、3月25日にワキタに対し、監査等委員でない取締役1名選任、剰余金を処分する、資本コストの開示に係る定款変更、代表権を有する取締役の個別報酬開示に係る定款変更、政策保有株式に係る定款変更の5件について、株主提案権を行使する書面を提出していたが、5月26日に開催された株主総会において株主提案(第5号から第9号議案まで)は否決されており、同キャピタルがワキタ株を買い増すのか今後の動向も注目される。
■4月、5月の自社株買い継続を評価
ワキタは、4月8日に200万株(発行済み株式数の3.85%相当)・2億円を上限に2022年4月11日から23年2月28日まで自社株買いを実施すると発表済みで、6月3日に発表した自己株式の取得状況では、累計で35万9600株・3億7962万7800円(5月24日現在)取得。4月、5月と自社株買いが続いており、株主とのエンゲージメントを高める目的を実行に移していることを市場は評価している。
株価は、1990年8月2日につけた上場来高値3630円から2000年安値230円、2010年安値290円と売られ二番底形成から2018年10月高値1504円と上昇。その後、1000円を軸にもみ合っている。新中期経営計画の最終年度25年2月期の営業利益目標は最高益86億円に迫る計画で、7月8日に発表が予定される第1四半期決算が順調に推移すれば、上放れが期待されそうだ。(信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)