[ベルリン 3日 ロイター] - 大手自動車メーカーの決算発表が進む中で、各社から欧州と北米での需要鈍化見通しの表明が相次いでいる。アナリストらは、消費者がインフレにおじけづき出し、手元のお金を必需品のために取り置こうとしているさらなる表れになるとみている。
ドイツのBMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は3日の電話会見で「新規受注が減少している」と発言し、特に欧州での動きを挙げた。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)のアルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)も先週、「需要が落ちてきている」と認めた。「鈍化の兆候があるのは欧州と北米」とした。ただ、中国地域ではそれほどでもないとし、全体では向こう数か月の受注はまだいっぱいに入っているとも指摘した。
調査会社コックス・オートモーティブの欧州担当幹部フィリップ・ノサード氏によると、オンラインでの自動車ディーラーやオークションサイトのデータからは今年3月以降に需要鈍化傾向が出てきた。「消費者は、今は非常に慎重になっている」という。
イタリアのフェラーリやドイツのメルセデスなど一部高級車メーカーは今回も販売見通しを引き上げた。高価格帯では強い需要が続いているためだ。しかし、業界の大部分では見通しが陰っている。特に受注が少しずつ減ることで新規受注の待機日数の短縮化が起きているという。各社幹部によると、一方で生産はまだ通常より遅れており、納車状況も昨年を大きく下回っている。
ドイツのIfo研究所の3日発表のドイツ自動車企業調査も、インフレ予想のため受注残高が鈍る傾向を示した。国内のガソリン不足懸念が大きいという。
北米や欧州ではインフレ高進が著しい。欧米系ステランティスのカルロス・タバレスCEOは先月、家計予算に対して自動車購入費用の比率が限界を超える懸念を表明。そのために「値上げには限界がある」と認めた。自動車各社はこれまでは利益率維持のためコスト上昇を消費者に価格転嫁しようとしてきた。
米フォード・モーターのジョン・ローラーCFOに至っては、昨年にサプライチェーン問題もあって取りやめていた値引きなどの販売奨励策の復活を考えていることを明らかにした。