白木真紀
[ヌサドゥア(インドネシア)/東京 14日 ロイター] - 三菱重工業の泉沢清次社長は14日、ロイターとのインタビューで、アジアでの脱炭素社会の進め方について、エネルギー移行期には二酸化炭素(CO2)排出量を抑える燃料を使うなど既存の火力発電設備を活用するのが現実的との見解を示した。
泉沢社長は、最終的には石炭火力への依存から脱しなければならない、としながら、「昨今のエネルギー安全保障の観点から、再生エネルギーだけではなく、それぞれの地域特性に応じた現実的な対策が必要だ」と述べた。
インドネシアでは15―16日に開かれる20カ国・地域首脳会議(G20)に合わせ、世界の経営者が集う会議(B20)が13─14日に開催。B20で議論される7分野の1つ「エネルギー・持続可能性・気候」で同社長は共同議長を務めている。
泉沢社長は、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰する中、再エネを推進してきた欧州でも「理想的な姿と現実をどう折り合いを付け、解決していくかに議論は動いている」とし、再エネ一辺倒は現実的ではなくなっていると話した。
国際社会がアジアに石炭火力の廃止を求めていることについては、「問題はそのタイミング」と指摘。アジアの新興国は経済成長に多くの電力を必要とするため、環境に優しい燃料を使った既存発電設備の活用が必要になると述べた。
脱炭素化の方法は地域によって違う。米国では「(クリーン電力に対する税控除がある)インフレ抑制法を踏まえてCCS(炭素回収・貯留)が進んでいる」と説明。アジアでは「既存の石炭火力にアンモニアを混焼するのが1つの選択肢」といい、シンガポールや豪州では水素への関心が高まっているという。
アジアでの同社の商機に関しては、時間軸や国によって異なるものの、欧米ではすでに受注している将来的に水素を混焼できるガスタービンの拡販や、石炭火力にアンモニアを混焼する方法などが見込まれると語った。
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