[東京 30日 ロイター] - 2022年の日経平均株価は年間で9.36%(2697円21銭)の下落となった。年間で4年ぶりの下落。TOPIXも5.05%の年間マイナスだった。ロシアのウクライナ侵攻などをきっかけに世界的にインフレが進行し、海外中銀が利上げを加速したことが逆風となった。
日経平均の年間マイナスは、米中貿易摩擦などで12%(2750円)下落した2018年以来。21年は3万円台を回復しバブル崩壊以降の戻り高値を付けたが、今年は一転軟調な展開となった。
海外(29日まで)との比較では、米国のダウ工業株30種が8.5%の下落、ナスダック総合指数が33%の下落、欧州ではSTOXX欧州600種が11.7%の下落となっており、日本株は比較的下落率が小さい。海外に比べてインフレ率が低く、日銀が金融緩和を続けたことなどが要因とみられている。
ただ、日本と海外の金融政策の違いなどを材料に進んだ円安は必ずしも日本株のプラス要因にはならなかったとの指摘も出ている。今年はドルが150円を突破し、32年ぶりのドル高/円安水準を付けた。
業種別の年間騰落率では、鉱業、銀行、保険、空運、卸売、医薬品、海運などが上位となり、下位は電機、サービス、精密、金属、輸送用機器だった。日経平均225採用銘柄では、三菱重工業、日揮ホールディングス、フジクラ、高島屋、三越伊勢丹ホールディングスなどが上位となった。
三菱UFJ国際投信の荒武秀至チーフエコノミストは「円安による収益増で本来は株高に反応するはずの電機、精密、輸送用機器が、光熱費や資材価格の高騰で打ち消された。従来の『円安イコール株高』という構図が成立しないほどに円安の弊害が意識された1年だった」と振り返る。
23年ついて、智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジストは、難しい局面を迎えそうだとみる。「米国の景気が堅調でも、連邦準備理事会(FRB)の引き締め強化による世界的なリスクオフに巻き込まれれば、外需依存度の高い日本企業の業績への悪影響は大きい」と指摘。日経平均は年後半に2万3000円台まで下げるリスクもあると予想している。
岸田文雄首相は30日、東証の大納会に出席し、「来年は資産所得倍増プラン元年にする」と述べた。首相が大納会に出席するのは2013年の安倍晋三元首相以来。「貯蓄から投資へのシフトを抜本的に進めていく」としたほか、「来年はスタートアップの育成に一段と力を入れていく」と話した。
2021年末 2022年末 年初来騰落率
日経平均株価 2万8791円71銭 2万6094円50銭 -9.37
TOPIX 1992.93 1891.71 -5.05
マザーズ総合 987.94 732.01 -25.87
S&P総合500種 4766.18 3849.28 -19.27
ナスダック総合 15644.97 10478.09 -33.05
ダウ工業株30種 36338.30 33220.80 -8.58
STOXX欧州600種指数 487.80 430.35 -11.78
韓国総合株価指数 KOSPI 2977.65 2236.40 -24.66
上海総合株価指数 4921.51090 3871.6338 -21.63
豪S&P/ASX 200指数 7513.400 7038.700 -5.45
ロシアRTS指数 1595.76 936.80 -41.28
(注)マザーズ総合、S&P総合500種、ナスダック総合、ダウ工業株30種、STOXX欧州600種指数、ロシアRTS指数は29日までの数字
(齋藤信世)