[東京 21日 ロイター] - トヨタ自動車の佐藤恒治社長は21日、電気自動車(EV)の主戦場になりつつある中国について、「先進的な市場になっていくと思う」とした上で、「もっとスピードを上げて努力をしていく必要がある」と述べた。
世界最大の自動車市場である中国は、比亜迪(BYD) (SZ:002594)や上海蔚来汽車(NIO) (HK:9866)など現地メーカーが主導する形でEVの普及が急速に進んでいる。内燃機関の時代に高いシェアを占めてきたトヨタをはじめとした海外メーカーはEVでは劣勢を強いられ、値下げ圧力にもさらされている。
佐藤社長はロイターなどのインタビューに応じ、従来の車とEVでは「コストの構造が異なる」とした上で、「生産性を改善しながら顧客が期待する価格に近付けられるように努力をしていく必要がある」と語った。
一方で、価格はEVが普及する上で「大事なファクター(要因)」としつつ、「バッテリーEVの基本性能をしっかりトヨタらしく作り込み、その上で特に知能化の部分に対して、われわれらしい付加価値を実現していくことが大切だ」とも語った。
世界最大の自動車メーカーであるトヨタは、EVについては他社に比べて取り組みの遅れが指摘されてきた。佐藤社長は「ボリュームという観点では当然、他社に比べると非常に少ない段階。そこには差がある」と語った。「裏を返せば『トヨタがんばれ』というエールだとも思える」と述べた。
トヨタは佐藤社長の就任後初めて開いた7日の記者会見で、2026年までにEV10車種を投入して年150万台とする販売計画を発表した。従来から公表している30年までに年350万台とする販売目標は変えず、その通過点として26年の計画を示した。次世代のEVのための専任組織も新設した。
佐藤社長は今回のインタビューで、「3ステップで新しい取り組みをしていく」と説明。既存の生産システムを活用してEV事業に参入するのが第1段階で、第2段階で商品力の強化を加速、第3段階で「車単体で考える進化はもちろん、いわゆる事業環境全体を視野に入れたEVを出していく」と述べた。
(白木真紀、ダニエル・ルーシンク 編集:久保信博)
*グループインタビューであることを明確にしました。