*14:38JST 三井松島HD Research Memo(8):非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指す
■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
三井松島ホールディングス (TYO:1518)は1913年の創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきた。
近年は世界規模での環境保護意識の高まりを背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが国家・企業・投資家の枠組みを越えて加速しており、石炭関連事業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものに変容しつつある。
このような危機意識のもと、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。
数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。
2020年3月期から2024年3月期までの5年間で300億円のM&A投資を実行することにより、非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指している。
(1) 各事業の方針
石炭関連事業については、現在、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘する予定である。
なお、隣接地域への鉱区延長に係る環境許認可の申請を行っていたが、2022 年10 月に現地当局より否認する決定が下された。
それに伴い、同社の石炭生産分野及び石炭販売分野に関しても、2024年3月期をもって終了する見通しだ。
このような事業環境が見込まれるなか、同社はM&Aにより新たな収益基盤の確立に注力する。
非石炭事業については、投資リターンを意識したM&Aを実行する方針だ。
投資収益率※15%を目標にするほか、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行することで定量目標の達成を目指す。
※投資収益率=年間EBITDA÷累計投資額(企業価値ベース(株式+純有利子負債)。
(2) 進捗状況
2023年4月末時点の累計投資額が196億円(中期経営計画目標300億円のうち65%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は42億円と計画の89%を達成した。
効率的に投資資金を投じながら、順調に利益を増やしていることがわかる。
2024年3月期においてもM&Aにおける同社の強みを活かしながら、将来の企業価値を最大化するような案件の獲得に注力する方針であり、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
2. 2025年3月期以降の方針
2025年3月期以降についても、新規M&A投資を着実に実行し、非石炭生産事業で営業利益増を目指す方針に変わりはない。
グループ会社間のシナジー創出の視点も加え、目標投資規模の拡大も行いながらM&Aに取り組むことで、グループ全体の成長をさらに加速させる方針だ。
また、2024年3月期以降に増加するキャッシュに関しては、新規事業投資に重点配分すると同時に株主に還元していく。
具体的には、普通配当80円(年額)に加えて、自己株式の取得を適切に実施しながら1株当たり純利益(EPS)の最大化を目指す。
現時点でも同社は「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行し、成果をあげている。
これにグループシナジー創出の視点を投資基準に加えることで、成長性及び収益性がさらに加速される可能性は高いと弊社では見ている。
今後の新規M&A投資に期待が高まる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
1. 中期経営計画
三井松島ホールディングス (TYO:1518)は1913年の創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきた。
近年は世界規模での環境保護意識の高まりを背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが国家・企業・投資家の枠組みを越えて加速しており、石炭関連事業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものに変容しつつある。
このような危機意識のもと、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。
数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。
2020年3月期から2024年3月期までの5年間で300億円のM&A投資を実行することにより、非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指している。
(1) 各事業の方針
石炭関連事業については、現在、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘する予定である。
なお、隣接地域への鉱区延長に係る環境許認可の申請を行っていたが、2022 年10 月に現地当局より否認する決定が下された。
それに伴い、同社の石炭生産分野及び石炭販売分野に関しても、2024年3月期をもって終了する見通しだ。
このような事業環境が見込まれるなか、同社はM&Aにより新たな収益基盤の確立に注力する。
非石炭事業については、投資リターンを意識したM&Aを実行する方針だ。
投資収益率※15%を目標にするほか、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行することで定量目標の達成を目指す。
※投資収益率=年間EBITDA÷累計投資額(企業価値ベース(株式+純有利子負債)。
(2) 進捗状況
2023年4月末時点の累計投資額が196億円(中期経営計画目標300億円のうち65%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は42億円と計画の89%を達成した。
効率的に投資資金を投じながら、順調に利益を増やしていることがわかる。
2024年3月期においてもM&Aにおける同社の強みを活かしながら、将来の企業価値を最大化するような案件の獲得に注力する方針であり、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
2. 2025年3月期以降の方針
2025年3月期以降についても、新規M&A投資を着実に実行し、非石炭生産事業で営業利益増を目指す方針に変わりはない。
グループ会社間のシナジー創出の視点も加え、目標投資規模の拡大も行いながらM&Aに取り組むことで、グループ全体の成長をさらに加速させる方針だ。
また、2024年3月期以降に増加するキャッシュに関しては、新規事業投資に重点配分すると同時に株主に還元していく。
具体的には、普通配当80円(年額)に加えて、自己株式の取得を適切に実施しながら1株当たり純利益(EPS)の最大化を目指す。
現時点でも同社は「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行し、成果をあげている。
これにグループシナジー創出の視点を投資基準に加えることで、成長性及び収益性がさらに加速される可能性は高いと弊社では見ている。
今後の新規M&A投資に期待が高まる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)